さびしいカゲがあった子役時代

「菊之助と玉三郎 その人間的魅力」の続きです。
子役時代の玉三郎さんについて書かれている章があります。

子役時代の玉三郎には一口にいってさびしいカゲがあり、
「その陰影の濃さが孤児の太郎吉にピッタリだ」と語るのは新国劇の島田正吾だ。
ちょうど島田が浜町・明治座の舞台で長谷川伸の「沓掛時次郎」を出した時だったから、
たしか35年の10月だったと思うが、そのときの喜の字は参加の形で
哀れな太郎吉を演じたのである。

とあります。玉さんが、10才の頃ですね。さらに

そのときの舞台の印象を「沓掛」のおきぬ役で出ていた香川桂子は
こんなふうに語っている。
「舞台がグルッと回って裏にいるとき、そのあと立ち回りになるものですから
つくりかけた小道具の荷物を投げいいようにあちこち置いておくわけですけど
そんなときいっしょに手伝ってくれた玉三郎さんのこと、いまでも忘れません。
神経の細かいお子さんでしたが、その当時から、
『ぼく、今に歌右衛門さんみたいになるの』といっていた言葉が
とても印象的でした。つまり、ちっちゃいときから、子どもごころに
歌右衛門さんになることを夢見ていたんですね」

と、あります。

いっしょに手伝ってくれる少年玉さん、可愛いですね。
あっちゃこっちゃに荷物を置きにいく少年玉さんの光景が浮かびます。
神経が細やかで、人がどうしたいのか、今、自分が何をすればいいのか
幼い頃からすぐに気がついてしまう玉さんだったんでしょうね。
和楽の中でも、お母様の勘紫恵さんが玉さんの子ども時代について
やはり静かで、何をやるのも丁寧だった、と語られていますね。

すでにこの頃から、歌右衛門さんへの憧れも、強いものがあったようで
『ぼく、今に歌右衛門さんみたいになるの』と宣言して、
実際、それ以上に!なってしまうのですからね

さらに、同い年の志うかさんとの関係についても。

玉三郎のウナギ上りの人気とくらべて志うかの地味な存在を
気の毒がる向きも多いが、二人はおない年のせいもあって、
ほんとうの兄弟のようにむつまじい。
よくしゃべる玉三郎と対照的に志うかは無口。
だが、実際は明るい性格らしく、二人だけだと芝居のこと
人生のこと、将来の希望など、いろいろ語り合う機会が多いそうだ。
「ぼくは志うかといっしょだから、雑念なく芝居に打ち込めるんです」と
いつか玉三郎がしゃべっていたのをなにかの雑誌で読んだ記憶もある。
志うかは玉三郎とちがい、本来、やらわかみのある二枚目の男役に将来
その進むべき方向を見いだすことになろう。

とあります。
「よくしゃべる玉三郎」さん、ですよね今もなお。暗いカゲ、もわかるんですが
やっぱり、明るくてよく喋る笑顔の玉三郎さんが、地ではないのかなと思います。

偶然にも私の友達が通っていた高校の物理の先生が、玉さんの聖学院時代の同級生だった方で
彼女曰く「その先生、授業の最初に毎回、玉さんの話しをするのよ。すごく男らしい奴だ、とか
友達思いのいい奴だ、とか、玉さん自慢ばかり毎回聞かされて、私たちも、
やっぱり一度は見てみなくちゃねってことになって、皆で玉さんの舞台を観に行ったんだよ」
と話していました。その先生、物理より、ダンゼンいいこと教えてくれましたよね

志うかさんは、今、大谷桂三の名前で舞台でご活躍ですね。
余談ですが、33才年下の奥様とご結婚されてご長男も誕生されたようです。
さささ33才年下ってことは、60才と、27才!うわぁ~お
やるなあ~。おめでとうございます!!

結婚式の様子がサイモンさんのブログに掲載されていました
http://yoshizumisimon.com/2007_12/index.html


そうそう、この本の表紙をお見せしますね。年季ものでしょ。
img022_convert_20100711115145.jpg

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栴檀は双葉より芳し

桔梗さん

早速、続きを教えて下さってありがとう!!
【沓掛時次郎】 勘弥丈の時次郎・おきぬが松蔦(後の門之助。現・門之助の父) 太郎吉が喜の字(8歳) これが初演。その2年後なんですね、明治座。お父さんが時次郎に殺され(一宿一飯の恩義)母の
おきぬは病死。孤児になった太郎吉は、時次郎に背負われて旅に出る。島田正吾さんは 「背中におんぶしたら、あまりにも軽くて弱弱しくて
この子、芸能界で生きていけるだろうか」 と心配したとか。

玉さま25歳のとき、同じ明治座で、おきぬを演じたのを、私、観ました。
おきぬも可哀想でね。 いっぱい v-404

太郎吉を始め、佐倉宗五郎の娘、袖萩のお君、等々。可哀想な子供の役が似合ってたのでしょう。寂しいカゲがあったのは、20代になっても、十分ありましたから。明るくお喋りして・・・は、地ではないです。
美しさの中に、どこかにいつもカゲのある玉三郎。そこが、私、好きだったんですから。演劇界に載っていた 「憂愁の貴公子・玉三郎」 あの横顔、大好きなんです。

よく気の付く子供だったんですね。可愛い~。
「歌右衛門さんみたいに・・」は、云いかえれば、「歌舞伎界随一の女形になる」 が正解。 歌右衛門丈に教えてもらったら、教えられた通り演じて、そして、出来あがると、歌右衛門とは異質の「玉三郎の何々」に
なってましたから。(笑)
「志うかは、呑気過ぎで、玉三郎はピリピリ神経質で、二人合わせて2で割りたい」 と、勘弥丈の口癖でした。その差が今の地位。

この本、やっぱり、私、知らなかったです。玉さまのこと知らないことないでしょ、と、MちゃんやK子さんに云われるけど、そんなことないですよね能登のことだって桔梗さんに教えて頂いたしv-290
今回も、珍しい、懐かしい本の紹介本当に有難う!!感謝、感謝!!

みよ吉さん

いろいろと解説していただいて
ありがとうございます。

それにしても哀しいお話ですよね。
陰のある子役なんて、そうそういませんから
これも玉さんならでは、ですね。

>「背中におんぶしたら、あまりにも軽くて弱弱しくて
この子、芸能界で生きていけるだろうか」 と心配したとか。

やせっぽちで、か弱くて、心配されたんでしょうね。
でも、シンちゃんの心の芯は、ガッチリたくましかたっんですね。これが。

玉さんは、人が作ったイメージと、素のそのままと
かなりギャップがあるような気がします。

もちろん儚さにかけては、他の追随をゆるさないものが
ありますが、コメディもやりたいってずーっと
おっしゃっていますよね。

あっけらかんのケロケロ玉さんの役も
もっと拝見したいなあ、と思います。
トークショーでは、かなりその片鱗が
うかがえるようですけどね。

みよ吉さんもご存じでない本を発掘できてe-390
よかったですe-257

殺し屋

三谷幸喜さんの映画で玉三郎さんを観てみたい。
正統派喜劇で「殺し屋」。^^

まるこさん

三谷さんの喜劇でね、ふむふむ。
どんな風になるでしょうか!

伊丹十三さんが生きていらしたら、、
向田邦子さんが生きていらしたら、、、
昭和の泣き笑いの世界が、懐かしいなあ。

つかこうへい氏の訃報に、ショックを受けました。
蒲田行進曲、大好きでした。何回も観ました。

話しがずれてすみません。



最近の桔梗さん^^

玉三郎本の発掘に命をかけているような・・・・・(笑)
次々に出てきます。
楽しみ、楽しみ。

玉三郎さんの昭和喜劇が観てみたいわ。^^

命カケテマス

まるこさん

それもこれもあの「立女形への道」の効用なんですわ。
資料が沢山出ていたので、そっちの方が
面白そうやん(失礼)と思って調べたら
けっこう、あるもんですね。図書館にも。

今の菊之助と玉三郎、も、みよ吉さんも未見との
貴重な本みたいなので、もう少し、
ご紹介させていただこうと思います。

昭和喜劇いいですね、明治喜劇もいいかも。

島田正吾さん^^

大好きでした。
もう90歳くらいになられた頃でしたか、「徹子の部屋」に着流し三尺で出演されました。とっても素敵だった。^^
玉三郎さんはいろんな方にご縁があり、それも運ですね。

明治喜劇、いいかも。(^^ヾ

桔梗さん、明治喜劇の資料探し頑張って。^^

ご縁

まるこさん
そうですよね、玉三郎さんのご縁は
これまた一冊の本になるくらい
各分野の方々といろいろな繋がりがありそうですね。

でも一期一会を大切になさる玉さんだからこそ
ご縁も深く、太く、なっていくんでしょうね。

明治喜劇の資料、、、探してみます(冷や汗)

島田正吾さん

桔梗さん・まるこさん

島田正吾さんの舞台、観たことあるんですよ、
大川橋蔵公演 『男の花道』の土生玄蹟の役。このストーリーご存じかしら? 旅先で失明寸前の、3世・歌右衛門の目を治した眼医者。

その恩義を生涯忘れず、無理難題の殿さまの前で、切腹させられそうになった玄蹟を、「歌右衛門の舞踊」で救った。つまり、役者と眼医者の
刎頸の交わり。感動の物語です。
名医でありながら、どこか野暮ったい玄蹟。ボソボソとしたセリフがその役にピッタリでした。
何だか、私の人生って、お芝居や映画ばっかりみたいv-15

男の花道

みよ吉さん

聞いたことはありますが、ストーリーは
存じ上げませんでした。
舞踊でお医者さんの命を救う!素晴らしい。

今の玉さんの舞踊でも
いろんな人を救えそうですよね。
私は確実に救われています。命じゃないけど。

また玉さんに戻っちゃいました。ちゃんちゃん
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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