全員での実技② @「演じるということ」

明治大学公開講座「演じるということ」の第4回目です。

会場にいる全員が立ちあがっての実技は、どんどん白熱していきました。

「真如の月を眺め明かさん~」

玉三郎さんが言うと、空気が変わります。
言葉に魂がちゃんとのっかっているんですね。
余韻がじわーんと胸に残ります。

役者として大事なのは、
 「真如の月を (少し間があって) 眺め明かさん~の、
 さん~と言った時に見えるかどうか。それを意識すると
 みなさんも言い方が変わると思う。

では、手をつけてやってみましょうか?

手を入れると、「眺め、あ、か、さ、ん」って
 なっちゃうから(笑)、まずは台詞だけ。

あはは。では、台詞だけでやってみましょうか。

玉三郎さんの「どうぞ!」の合図に合わせて、私たちも台詞を言ってみます。
意識を込めて、しんみりと、「真如の月を 眺め明かさん~」

ただ元気がなくなっただけですねー(笑)

でも空気は漂いました!(玉三郎先生、やさしいです)
 みなさんもそう思いませんか?じゃ、もう一回。せーのっ。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

玉三郎さんの口調もノリノリになってきて、
「ね、ねえねえ、先生さ~ここの人たちがいなくなるでしょ。
 ちょっともう一回、見ちゃいましょう」と、
しっとり系から江戸っ子系に。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

「さん~」と言う時にいなくなるの。

そうですね~魂が浮遊しましたよ~(笑)

するでしょ?だから、「真如の月を 眺め明かさ~ん~ん~ん~」
 っていくら言っても(語尾に抑揚)、心から「明かさん」って思ってないと
 見えてこない。見てると、小さな節の中でお客さんは感じる。

そこ、ポイントですね。ではまず意識を整えてから、言うってことですね。

だから、「明かさ~ん~ん~ん~」っていくら言っても
 イメージがないとただの台詞回しだけになっちゃう。

と、玉三郎さんがわざと抑揚をつける「明かさ~ん~ん~ん~」を
何度もやってくださって、それが面白くて(笑)斉藤先生も思わず、
「あははは」と大笑いして、下手な役者さんにそういうのありますよねえ、と。

さっきのスポンジのように、台詞回しと意味があってないとダメで
 台詞回しだけ出ちゃうと意味が出てこない。意味だけが強く出ちゃうと
「眺め明かさんっっつっつ」と(凄く強い語気)なって見せるものじゃなくなっちゃう。
 台詞回しと意味がどの位の音符でどの場面でどのシチュエーションで
 どういう風に言わなければならないかってことを計算して、言ってる言葉と意味が
 過不足なくキチッと納まらなければダメ。

私は、ここのお話が印象深く、はっきりと心に残っています。
実際に台詞でそれを聞かせてくださったので、なるほどなあ、と実感。
意味だけが伝わっても見せるものじゃなくなってしまう、ということが
衝撃でした。よーくわかりました。プロであることの極意をすべてさらけ出して
語ってくださっていること自体、凄いなあと感動しきりでした。

じゃあ、今度は手をつけてやってみましょうか。

眼をつけましょう。「眺め明かさん~」(遠くを見つめて)
 まず右下を見て、左上の月を創る。

最初は右手を使いますか?

それやると難しい授業になっちゃうんで、来年になっちゃう(笑)
 役者の空間として3つの範囲がある。1が思い悩む自分自身、2が見える範囲で、
 3だけは、見えない範囲。劇場の外か、過去。非現実的空間と時間。

一同:1,2、3、で、やってみると

みんな、なりますね。いい感じになってきましたね。

みんなに見せたいですね。じゃ、前の半分の方は後ろを向いて
 お互いに向き合って、みましょう。最初、前の方が感情入れてやります。

じゃね、感情が入ってないのをまずやってから。形のみで。

玉三郎さんの声が凄く弾んでいて、演出家魂に火が
で、まずは感情はなしで、形のみで。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

素晴らしい形だけですね(笑)
 次は、ちゃんと一人称から劇場の外の月を見る。
 よろしいですか、では、どうぞっ。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

と、前の方の席チームと後ろの方の席チームで交互にやりっこしていきました。
その都度、玉三郎さんが「では、どうぞっ」とチカラ強く、合図してくださいます。
どんどん楽しくなって、念の入れ込み方も念入りに!なっていきます。

もっと範囲を広げてみて。集中しないとできませんよ。
 いいですか。一回、集中させましょうか。では、どーぞっ!

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

もうちょっと声を出してくれませんか。
 これでは感情だけなんです。言葉がちゃんと出てこないと
 それでは専門家になれないんです(笑)
 自分がやってる形よりも思考が広がらないと言葉だけになっちゃう。

声の部分だけ大きく、やってみましょう。せーの。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

これでは声だけになっちゃってる。これに感情を入れなくては
 いけない。感情は大き目にとらないと言葉に負けます。

感情を大きくとるんですよ。そうじゃないと専門家になれませんよ。

それでは、いいですか。どーっぞっ!

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

声にとらわれた分、飛びにくくないですかっ!
 そう思いませんでしたか?声を大きくすると感情は飛びにくいんです。

じゃ、前列の方だけ、声大き目で言いましょう。

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

ちょっと声、小さいですねえ。もうちょっと大きい声出して。
 では、どーっぞ!

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

では感情を込めてやってください。どーっぞっ!

一同:「真如の月を 眺め明かさん~」

あのねーみなさん形にとらわれて、感情が出ないのわかりましたか。

玉三郎師匠の要求は、どんどん、どんどん高くなっていくのでした(笑)。

ついに斉藤先生が、「もう座らせてもいいですか」とおっしゃり(笑)、いったん着席。
素人の私たちに、演ずることの肝を熱く、切々と語って教えてくださった玉三郎さん。
束の間、生徒となってこんな体験をさせていただけたこと、一生忘れません。 

でも、まだつづく。

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No title

観客に演技指導とは~お優しいというか、ご親切♪お客様お幸せです。
「手が、仙骨から伸びるかどうか」バレエダンサーがそうですよね、世界的なダンサーと共演された玉様にしか出来そうにありません。
昨日の沖縄舞踊の拙記事でご紹介させていただきました。この記事を私のブログに残させていただきたいので。

読みふけります

細かくご報告、ありがたいです。読みふけっています。
参加できたみなさん、よかったですね。
パフォーマンスではないから、とパスした講演会でしたが、日程的にも無理だったのですが、こんなことになったとは。
次にまた齋藤先生がお相手のときは、注意することにします。

齋藤先生の「手をつけてやってみましょうか」に、玉三郎さん「眼をつけましょう」、面白いやりとりですね。やっぱり「眼」なんですね。見えないものを見ている「眼」。

「道成寺」の録画みて、「眼」のゆくえをたどりたいと思います。

お優しいです。

hitomiさん

本当に丁寧に真剣に熱く、教えていただいて
玉三郎さんの実の優しさに触れさせていただきました。
幸せな時間でした。

仙骨から手を伸ばしたワイシャツ姿の玉三郎さん、
かっこよかったですよ。
お着物じゃないから手の長さがスーッと見えて
斉藤先生が「夕鶴」を思い出されたのにも納得です。

ご紹介いただきありがとうございます。
自分のメモや記憶だけでは到底、足りなくて
一緒に参加した方々にひとつひとつの内容について
いろいろ確認させていただいてやっと書けたので
恥ずかしいですけど、見ていただけたら嬉しいです。


よかった!

京にんじんさんには、細やかなレポで
いつもいつも幸せをおすそ分けしていただいているので
何とか、頑張らなくちゃ、と思っていたのですが

どうにも難しくて、なおかつ記憶もあいまいだったりで
参加したいろんな人に教えていただきながら、やっと書くことが
できました。いいことを沢山、おっしゃっていたので
本当に、どれもこれもお伝えしたいことばかりでした。
こういうのをテレビで放送してくださったら、
学生さんはもちろん、老若男女みんな
ほーーーー!と感心して、ためになって、
姿勢が伸びて綺麗になって、いいことづくめだなと思います。

玉三郎さんが、「パソコンやるときは、こうなっちゃうでしょ?」と
前かがみで顎が出ている姿勢を実際にやってくださって
あーそうそう、なっちゃうなっちゃう、私だー、と。
なので、これからは胸を開いて、を毎日実行できるように
やっていきたいなあ、と思います。

斉藤先生はしきりに第二回目も!とおっしゃっていて
みなさんアンケートにそんな要望を書くように、と促されていたので
しっかりと書いてきました。
二回目があったら、絶対に参加いたしましょう。
学生さん主賓ですけど、一般を混ぜてくださったことに
本当に感謝しています。

佐渡のECのワークショップで玉三郎さんの「演技」の講座が
あってもいいですねー。なんて、コンサートでそれどころじゃないかな。

役者をめざしていなくても、人として、為になることづくしで
とてもとても貴重な講座だと思いました。
機会がたくさん増えることを熱望ですね。

「眼のゆくえ」私も、見てみたいです!

斉藤先生との掛け合いというか、話がどんどん発展していく
そのプロセスも面白く拝見しました。
打てば響きまくっちゃうお二人ならではの
創造的なひとときでした。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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