全員での実技① @「演じるということ」

引き続き、明治大学の公開講座「演じるということ」の第三回目です。

斉藤先生が先月、歌舞伎座で「京鹿子娘二人道成寺」をご覧になった時、
最初、眠っていた三人の殿方が、玉三郎さんの踊りが始まったとたん
ムクッと起きて、その後は眠ることなくジッとご覧になられていたのだそうです。

以下、は斉藤先生、は玉三郎さんです。

で、これは何かの殺気が出ているんじゃないか、厳しさというか、
 普通じゃない強い意識の線みたいなのが張られていて、おじさんたちも
 眠っていられない、というのを感じたんです。
 意識の線というか何かを発していることはあるのでしょうか。

今日の自分の最初の話にはなかったが、それが一番大事です。
 見えている自分の感覚のほかの世界。それがないと大勢のお客さんの前でできない。

美しいだけでなく、深いところで意識の強い輝き、金剛石のような
 発している光が伝わるのではないか。

それが一番大事。気というか空間支配というか意識というか、感情の線。 
 劇場の中だけの感情の線ではなく外のもっと遥か遠いところ、もっと奥とか後ろ。
 たとえば、「我も五障の雲晴れて、真如の月を眺め明かさん」、という
 生まれ変わって、煩悩から解き放たれて、月をながめてる、その時に、
 煩悩から解き放たれた月はどこにあるのか、想像が遥かにパッと見えないと
 その視線は出てこない。その意識は遠くのお客様でも感じられる。
 自分はそこにしか演技をするよすがはないと思う。それが無いんだったらやらない方がいい。

意識の線を先に張っておいて、動きがついてくることがあるが
 緊迫感というものが出ている。玉三郎さんの舞台には尋常じゃない
 意識の強さがある。だからおじいちゃんが起きちゃう。

 今日はせっかくですから、今の台詞を練習してみましょう。
 最初に、 玉三郎さんにやっていただきましょう。この後で、全員やることになります。
 と斉藤先生の誘導により、実技がスタートしました。

では、意識があって、振り返る、というのをやりましょう。

と、玉三郎さんが実際に演じて見せてくださいました。
大きな花瓶を背にして、スッスッと数歩、歩いて

花に恨みがある、ということですね。

と、歩き始めた時すでに意識は、後ろの花瓶の花にある、という演技です。

そして、スッと、振り返るわけですね。

会場中シーンと、みんな集中して玉三郎さんをみつめます。
なるほど、ただ歩いているようには見えなくて、
背中に何か重たい空気というか負の意識をしょっているように見えるのです。

たとえばね、先生、急に意識が芽生えて振り返るのか
 離れている時から意識があって、振り返るのか。

と玉三郎さんの声が弾んで、テンションがさらに上がってきて
いろいろやって見せてくださいました。

じゃ、ちょっと会場の皆さんにもやってもらいましょう。
 立ってみてください。

ということで、おっこらしょっと立ち上がり、両手を頭の上で組んで
上に伸びてから左右に身体を伸ばしたり、身体を振ったり、手を振ったり、
準備運動が始まりました。

玉三郎さんの「夕鶴」なんてスゴイですよね。
 手が肩甲骨から生えているということですかね。

手が、仙骨から伸びるかどうか、ということ。

とおっしゃって、上着を脱いで(この時のしぐさが実に色っぽい=男の色気)、
実際にやってくださいました。

手を仙骨から伸ばさないときは限度があるが、仙骨から伸ばすと
 長く伸びていくんです。

スーッと玉三郎さんの長い手が伸びて、そのしなやかなことったら、もう。場内拍手。

「たとえばね、先生ね」、と玉三郎さんが、どんどん次へと展開してくださり

ここから、こう開くことで、手が長く見えたりする

とやって見せてくださり、うぉ~~~~と声が上がり拍手、拍手。

お相撲さんが土俵入りする時、本当に強い人は、仙骨から出てる。
 手がバーッと伸びてるのは身体的能力からきている。
 
ポイントは仙骨ですね。腰のこの部分ですね。
 まずは右手を伸ばしてみましょう。ぶつからないように。

みんなそれぞれに伸ばして
よくわからないままに、私も手を伸ばしてみました。

先生、どうでしょうか。

ポキポキしてる感じですね。(笑)
 仙骨がしまっていて、そっからチカラが手の先へ伸びていくように。

で、みんな、またやってみます。

お~うつくし~。

何センチも変わらないけど雰囲気がバーッと。
 まずは手の脱力ができないとならない。

じゃあ、脱力してみましょう。

意外と手が自分の重さで下がらない人っています。
 意識でぶらぶらさせるのではなく手を投げ出してしまう。

玉三郎さんが長い手を下にぶーらぶーらとされているのを見ながら
自分でも手をぶらぶらするのですが、やっぱりチカラが入ってしまって
重さで下がるってことができませんでした。脱力って、むずかしい。

では、もう一回、仙骨から左手を伸ばしてみましょう。
 まず先生から。

玉三郎さんに続いて、みんなも手をスーッと伸ばすと

あ~でも、伸びてきましたねえ。
 意識が伸びるんですね、意識が。
 息をふーって吐くんです。

では、息を吸って、ふーッと吐いて。
 あと眼の意識の線は?

何か対象物を見て、遥か遠くを見る。
 真如の月を眺め明かさん~

と言いながら、玉三郎さんが遥か遠くの月を見上げます
すでに一幅の絵になってます。

では、まずは台詞の練習をした方がいいですね。

と、実技はどんどん、どんどん発展していって、
「真如の月を眺め明かさん」と台詞を言いながら、
遥か彼方の月をながめる、というお稽古が始まりました。

長くなっちゃったので、あらためて書きたいと思います。つづく








 

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見える、見える^^

玉三郎さんのお姿も、みなさんのトキメキも見えてきます。
素晴らしいレポートです。!!!

No title

いつも、素晴らしいお話、ありがとうございます。
そう、殺気。舞台を拝見するたびに感じていたのは、まさに此の事。以前、岡本太郎さんが沖縄の御獄にある小さな石をみて、ここが神と現世が交差する点だと、
モーレツな嗅覚で感じ取り、まさにしびれるような感動をおぼえた、とはなしておられました。
玉三郎さんは、その石(ダイヤ)のような役割を担われているのではないか、そんな気がいたしました。

これほどの精神の高みを、あたりまえのこと、って、かっこよすぎます。
来月のアマテラス、楽しみです。
ちなみにわたしも、男の色気(玉様限定)大好きです。

玉さん、見えた?

まるこ先生

重ね重ね、ありがとうごぜえます。
見えてよかった!まる見え?

みなさんのトキメキはハンパなかったです。
私の近くにいたおじさんも、ハァー、ふぉー、おほおほー、
と、常に変な声で反応されてました。
あれも、たぶんトキメキだったんでしょう。

芸術的殺気

フクギさん

おはようございます。
こちらこそ、コメントありがとうございます。

斉藤先生が殺気について語られた時、
玉三郎さんは、そうそう、それが一番大事なんです、
と深い声で、同意されていました。
そこにしか演技をするよすがはない、と言い切られて
いい言葉だなあと思いました。

岡本太郎さんのお話も強烈ですね。
芸術は感受性だ!その後、爆発だー!
って感じですよね。

すべての源に、柔らかくて鋭い
玉三郎さんの感受性があって
そこからして普通の人とは違うんだな、と。
神と現世とのスクランブル交差点(渋谷じゃないっての)

精神の高み、ですね。まさに!
尊敬の念が、またレベルアップしちゃいました。
だけど、男の色気もね(笑)大好きですね。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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