玉三郎さんトークショー〈その3〉@新阪急ホテル

先日の大阪のトークショーで
玉三郎さんが新しい歌舞伎座についても語られたそうです。
開場に当たり、先に、京にんじんさんレポのその部分をご紹介させていただきます。

6.新しい歌舞伎座について

真山さんの「(歌舞伎座を)ご覧になりましたか」に、玉三郎さん、
いっぱいお答えになりました。
「ロビーがきれいになって、売店が整理された。お客様が芝居以外のところで
ゆったりすわることができるところができて、よかった」
「客席は、以前とそっくり、おそうじしただけみたい。ただ、
バリアフリーの入口があり、エスカレーターもあり、よくできている」

「楽屋も舞台も、床を大事にしてほしいと言ったら、ほとんど木で、
すこしたゆむようにできていて、よかった」
「大きなエレベーターもできたので、大きな衣裳を着ても、そのまま舞台にでれる」
「花道のすっぽん、セリがぽんと置いてあって、すっと入ったら
さっと上がれるようになっていて、まわりに柱もなにもない」
「セリはまだ稼働してなくて、乗ってみてはいないけれど、すっと乗っかって上がれる、
どっちへでも、駆け出していけるようになっている」

すっぽんから降りて、好きな方向に「駆け出す」玉三郎さんを想像しました。

「床を大事にしてほしい」というのは、ある設計者と5分くらい立ち話したときに、
なにかアドバイスありますかと言われて、床だけはやわらかくないと、
俳優とか、働いている人の足腰に非常に負担があるので、と要望しておいたら、
「全部、ちゃんとなってました」。

「ちゃんと」というのは、「こういう木組みで、たゆみがある廊下だったんです」
ということです。「二階は少しそうじゃありませんでしたけど、ちゃんとバウンド
するようなものが敷いてあって、びっくりしました。よかったと思いました、
ほんとに、5分しかすれ違わなかったんですけど」

設計者とは、隅研吾さんなんでしょうかね。3月にサントリー美術館の
「歌舞伎座新開場記念展 歌舞伎―江戸の芝居小屋―」を見てきましたが、
この美術館の設計も、隅研吾さんなんですよね。
新しい歌舞伎座は、開場式で「一番太鼓」、「寿式三番叟」を務められた
傳左衛門さんによれば、音響も「以前の状態にアップデートされた」とあり、一安心。
http://blog.sankyokai.com/

〇ゼロ地点が定点の生き方
歌舞伎座のつくりにはまずはご満足の玉三郎さんですが、真山さんの
「劇場が新しくなるとき、そこに立つというのは、そんなにしょっちゅうあることで
はないので、最初のうち、感じるものがちがうようになりそうですか」に対しては、
「幕が開いてしまったら、同じかもしれませんね。ひっこむとき、あーっ、便利だな、
と思うかも知れませんけど」とすげない答えで、真山さん、脱力。

玉三郎さん、きれいごとは言いたくない、過大評価したことは言いにくい、
と、妥協しません。それは、「いつも人生で最低ラインていうのを引いて生きてきた」からで、
そこから、どこまで上げられるかっていうのが一歩で、それ以外は考えたことはない」ときっぱり。

パリ公演でも、「一番ダメだったらどうであろうかと想定」したのだそうで、おどろきます。
わかってきたつもりでも、おどろきます。「千穐楽も、両手をあげて喜べない人間」、
「打ち上げで喜んでることはほとんどない」、「次は何をしたらいいだろうかを考える」
のだそうです。

真山さん「そのかわり、早い時に打ち上げときどきしてますけどね、3日目とか4日目とか」
玉三郎さん「はい、それはほとんど、食べ会っ!」「打ち上げることは、しない」

〇初見の客、とおりがかりの客の目の確かさ
真山さんの問いかけは「玉三郎さん、お客様と私の関係で、ある距離をとらないと、
つらくなったりしないんですか」これに対する玉三郎さんの答えは、
「ごひいきさんは、ありがたい」から始まりました。
ごひいきさんと玉三郎さんとの距離の話をされるのかと思っていたら、
ごひいきさんと、初見のお客との距離の話でした。
おっしゃりたいことは、じつによくわかりました。

「自分がどんなにひいきでも、隣にいるお客様はゼロから見てるかもしれないですね。
だから、煽動する拍手とか、隣の方、初見の方が、静かに見たいと思っているものを
煽動したりとか、それはやっぱりゼロ地点じゃないし、初見のお客様を大事にする
ことが精通したお客様のマナーじゃないでしょうか」という風なことだったと思います。

ごひいきを自認するお客さまへ、自分の姿を俯瞰しなさい、ひいきであればあるほど、
自分の気持ちだけではなく、まわりの雰囲気を感じなさい、と戒められたと思いました。

初見の人の目の確かさ、感性の尊さについて、横山大観展でのオバチャン集団の言動が
声帯模写付きで、紹介されました。
5,6年前行かれた横山大観展で、夜桜の図と紅葉の図があって、
初期から後半の絵のなかで、ひとつだけ違った雰囲気だと思ってよーくみると、
ビエンナーレのために描いたものだったそうで。
そこに、オバチャンの団体がわーっと来て、「いいんじゃない、大観て」
(平べったい声でオバチャン喋りの玉三郎さん)、帽子を深々とかぶっている
玉三郎さんの後ろに来て、「あら、ここのコーナーは歌舞伎ね」、次に、
「下手な役者なら負けるわね」(同じくオバチャン喋り)

玉三郎さん、この反応におどろいたのだそうで、ビエンナーレ出品の作品を、
その前後のものと違うと感じ取る感性、初見のひとの目の確かさには、頭が下がる、
すばらしい瞬間で、「ほんとに初見の方たちの尊さは、ありがたいものだと思いました」

玉三郎さん、「ほんとに」「すばらしい」「ありがたい」と絶賛ですが、このオバチャン、
じつはすごい歌舞伎ファンなんでしょうかね。玉三郎さんの驚愕と絶賛の理由がピンとこない、
絵も歌舞伎も初心者のわたしです。

初見の人の感性、については、先代の勘三郎さんも、通りがかった人がなにか言うと、
今の人、なんて言ってた?って必ず聞いたそうで、真山さん「こういうもんだって
言った瞬間から、大事なものを失っちゃうんでしょうね」



新しい歌舞伎座について、演者の視点よりも、
お客さまにとってロビーがいかに快適か、といった
我々観客の視点でものを見てくださる玉三郎さんに恐れいります。

今回、バリアフリーになったことも大きい点ですね。
写真家の福田尚武さんの記事があり、よかった、と思いました。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201304020055.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201304020055

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No title

桔梗さん、京にんじんさん、
その3も、ありがとうございます!!!

玉様の一ファンでしかなく、ご贔屓さんの域ではまったくない人間がコメントするのもなんですが、、。
拍手の煽動はしているつもりはなく、凄~い・素敵~~♪・良かったぁ・明日以降もがんばってくださいね、などとと思って、拍手が出てしてしまうのも、やはり迷惑な話なんでしょうか、っておバカな質問でごめんなさい。でも、確かに他のお客様が拍手をされていてもしていない事も多いですね。人によって、感じ方も様々、難しいです。。。
なるだけ、ひっそりと心の中で拍手を送り続けるようにいたします。この方が難しい!?

きっと、玉様の事だから、会場の雰囲気や拍手の音色でも、心底からの拍手かそうでないか、わかってしまわれるのでしょうね、、、。

拍手の質

TOMOさん

私も、いろいろ考えていました。

ご贔屓さんの定義もよくわかりませんけど、
何十年来、玉三郎さんを応援&後援されている方ですよね。
そして歌舞伎にも精通されている方ですよね。

拍手を煽動する、煽っちゃってるような拍手は
きっと、玉三郎さんにはすぐにわかっちゃうんでしょうね。
常に周りのすべてのお客さんの立場になって
戒めていらっしゃるところが凄いなあと思います。

玉三郎さんの素晴らしい舞台に対して
どんな拍手を送ればそれに値するのかな、とか
考えることもあって、派手に手を打てばいいってもんでもないし
かといって地味に打っても伝わらないような気がするし
ブラヴォーと叫んで立ち上がりたい衝動に駆られますが
後ろの人たちが見えなくなると思うとそれもためらわれて、
てなこと考えてると何もできなくなっちゃいますが

TOMOさんがおっしゃるように、
心の中で想いながら、心を込めて、拍手をすれば
きっと玉三郎さんにも伝わるでしょうね。

大向うについては、
歌のコンサートとか、この間の沖縄組踊りの時に
「やまとやっ」という声がかかっていましたが
それは、いかんだろう、って私は思っちゃいました。
場にふさわしくないですよね。雰囲気を壊しちゃう感じで。
歌舞伎ではないところでは、やっぱりねえ。
ほかのご出演メンバーがまるで違うわけですしね。
どうなんでしょうかね。難しいですね。

拍手の質を上げるために、
ハンドクリーム塗っておこうっと。
少しはツヤっぽい音が出るかな。あはは。

まるっとお見通し

TOMOさん、桔梗さん

わたしも、拍手については、考えていました。
自分の感動を表現するために熱烈に拍手、というのを、玉三郎さんは、「煽動」とはおっしゃらないのではないかと思います。
舞台の上からだと、われわれ観客はまるみえなんだと思います。
客席に目をやる玉三郎さんをみていると、こちらがしっかり見られているという気がします。
心の中の拍手も、届いているはず。表情にあらわれて、玉三郎さんの一瞥で、お見通しなのだ思います。
だから、安心して、ふつうに拍手すればよいと思います。

こないだの組踊では、「地謡」がまだ流れているのに、バラバラと拍手が起こったのが残念でした。舞踊公演でも、演目によりますが、静かなものであれば、三味線、太鼓、さまざまの楽器の余韻がすーっと消えて、一拍おいて、拍手がはじまるのがいいと思っています。

拍手~まーるみえー

京にんじんさん

ジタバタしても始まらない、ですね。
すべてお見通しの玉さんの前では、
もう腹をくくって(というか、なす術ないので)
こんな私なんで、あいすいませ~んe-465
って、気持ちです。

>だから、安心して、ふつうに拍手すればよいと思います。

はい。ありがとうございます。
素直に、心を込めて、拍手をいたしましょう。
感動しすぎたり緊張して見切り発車しても
大丈夫かな。

組踊りでは、確かに、終わってないのに凄い勢いで拍手が聞こえてきて
私もつられて拍手しそうになり、周りが静かなので寸前で手を止めてe-451
拍手をやめた瞬間がありました。心臓に悪いです。

すでに、なんだか緊張してきたぞー。
歌舞伎座で妙な拍手をしている女がいたら
それは私です。

thank you^^

京にんじんさん^^

すご~い!細かく丁寧に玉様の話を伝えていただいてほんとうにありがとうございます。感謝しか言いようがないです^^。最高~京にんじんさん^^ AND 最高~ 玉様^^

DORIS
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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