『和の美人を極める~女流画家・上村松園~』

今夜22日21時から、BSプレミアム「極上美の饗宴」で
『和の美人を極める~女流画家・上村松園~』が放送されます。

上村松園さんの美人画は、玉三郎さんもお好きで
お手本にされていると書いていらっしゃいますね。

気品があって、たおやかで、凛とした女性の美しさ。
その絵画を見るにつけ、ほんわりと清らかな気持ちになりますが

松園さんは保守的な日本画壇の中、男性画家たちからの
激しい嫉妬の標的になって、とてもご苦労されたのですね。

あの「ふるあめりか」の亀遊さんを描いた
「遊女亀遊」という作品がありますが、当時、展覧会で人だかりが
できるほど話題になったその絵が落書きされるという事件が起きたそうです。


「作画について」の中で
次のように、記していらっしゃいます。

以下、青空文庫の記述より抜粋させていただきます。



遊女亀遊

「遊女亀遊」は明治三十七年京都の新古美術展覧会に出品したもので、
私の二十九歳の作です。

遊女亀遊は、横浜の岩亀楼のはしたない遊女でありますが、
外国人を客としてとらねばならぬ羽目におちいったとき、大和撫子の気概をみせて、

露をだにいとふ大和の女郎花 降るあめりかに袖はぬらさじ

という辞世の一首を残して、自害した日本女性の大和魂を示した気概ある女性であります。

当時アメリカ人やイギリス人と言えば幕府の役人まで恐れて平身低頭していた時代で、
これも何かの政策のために、そのアメリカ人に身を売らされようとしたのでありましょう。
それをアメリカ人何ぞ! という大和女性の気概をみせて、
悠々と一首の歌に日本女性の意気を示して死んで行った亀遊の激しい精神こそ、
今の女性の学ばなくてはならぬところのものではないでしょうか。

女は強く生きねばならぬ――そういったものを当時の私は
この絵によって世の女性に示したかったのでした。

上村松園「遊女亀遊」
遊女亀遊


亀遊のこの歌をみるごとに、私は米英打つべし! を高らかに叫んだ
水戸の先覚者、藤田東湖の歌を想い出すのです。

かきくらすあめりか人に天日あまつひの
   かゞやく邦の手ぶり見せばや
神風のいせの海辺に夷らを
   あら濤たゝし打沈めばや

東湖のこのはげしい攘夷の叫び声にも負けない気概を、
遊女亀遊はこの辞世の一首に示しているのであります。
いわば「遊女亀遊」のこの一作は私の叫び声ででもあったのです。

この絵について憶い出すのは、会場のいたずら事件です。
画題がめずらしかったので、会場ではこの絵は相当の評判になって、
この絵の前にはいつも人だかりが絶えなかった。

ところが、女の私の名声をねたむ人があって、ある日看守のすきをねらって、
何者とも知れない不徳漢が、亀遊の顔を鉛筆でめちゃめちゃに汚してしまったのです。

そのことを発見した事務所の人が、私の家へやって来て、
「えらいことが起こりました。誰か知らんがあなたの絵を汚しました。
それであのままにして置いてはみっともないから朝のうちに来て直して下さい」
との挨拶でした。それだけ言ったきりで、陳謝の意も表さず、
責任のない顔をしているのが私には気に入りませんでした。

亀遊をかいた当時の私は「女は強く!」ということを心から叫んでいたので、
「誰がしたのですか。卑怯な行為です。おそらく私にへんねしを持っている者が
やったのでしょうが、それなら絵を汚さずに私の顔にでも墨をぬって汚してくれればよい。
かまいませんからそのままにして置いて下さい。こっそり直すなんて、
そんな虫のいいことは出来ません」
私は肚がたったので、そう答えました。

女とみてあなどっていた事務所の方も、私の態度があまりに強硬でしたので、
あわててあらためて取締不行届を陳謝して参りましたので、
私もそれ以上追及しませんでした。

間もなく会期も終るので、そのままにして置きましたところ、
物好きな人がいて、あの絵をぜひ譲ってほしいと言って来ましたので、
私は念のために鶯の糞で顔の汚れをふきましたら奇麗にとれたので、
それを譲りましたが、犯人はそれきり判らずじまいでした。



女性の社会進出などが許されない明治時代、どんなにバッシングされても
屈することなく絵筆を握り続け独自の美の世界を構築した松園さん。

「女は強く」。好きな絵を描き続けたその精神力の強さはもちろん、
一生絶えることのなかった心の華やぎを感じます。すごいなぁ。

今夜の番組では、名画「蛍」が取り上げられるようですね。

BSプレミアム「極上美の饗宴」
http://www.nhk.or.jp/bs/t_culture/

上村松園「作画について」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000355/files/46526_26660.html

三重県立美術館のサイトです。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/catalogue/shoen/shoen-mori.htm

コメントの投稿

非公開コメント

見ました

番組見ました ちょっと始まってたけど

松園さんも清方さんも私は大好きです
特に清方さんの美術館は神奈川県の鎌倉にあるのでよく行きます

松園さんの絵は柔らかく 筆のタッチも繊細なのにほんとに女性の強さ 凛とした生き方 を感じます 女性同士だからなおさらそう感じるのでしょう

対して清方さんのは 筆のタッチがとても男性的で ラフ 大胆さを感じます 男性から見た女性像だと思います

どちらも好きで どちらにも玉さんの舞台女性像を感じます
松園さんの色々なエピソードが聞けて興味深かったです

桔梗はん まっぴらさん復活有難うございます
いろいろ大変だとは思いますが 息抜きにもなれるよう 私もがんばってコメント書きますね

花筐

上村松園さんの「花筐」とか「炎」が大好きです。
玉三郎さんが浮かびます。^^

柔らかくて強い

ムジコさん

松園さんの絵は、ずっと見ていたくなりますね。
柔らかいのに強くて、清らかで。

昔の日本女性はかっこいいなあ、と、玉さんを観て
いつも思いますが、松園さんの絵でも思います。

清方さんはやはり女性を突き放して見ているというか
(それが自然な見方でしょうけど)
松園さんの絵より体温が低い感じがします。

玉さんが演じる女性は体温が温かいというか
人肌を感じるんですよね。男性なのに、そこがまた凄いなあ、って。

結局、玉さんの話になっちゃいますね。

松園さんのような女性にあこがれます。
息子さんやお孫さんは、ふつうのお母さんやおばあさんじゃなくて
いろいろ大変なこともあったでしょうけど
お二人とも絵画を職業にされていますね。
松園さんの背中を見て、ですね。

ムジコさん、激励のお言葉をありがとうございます。
これからも、よろしくでございます。

モデル

まるこさん

玉三郎さんをイメージして描いたのではないか、って
思っちゃいます。激似ですよね。
あの気品は、そうそう出せるものではござんせん。
生身では、特にねえ。すごいですねえ。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク