木の葉の雫。

日生劇場の玉三郎さん特別舞踊公演のトリは、「楊貴妃」です。

「傾城」や「藤娘」の、生命ある美女の魂とは
まったく異質な、透き通る美女の魂に触れ、息をのみました。

魂は呼び戻されたけど、人としてはそこにいない。

心は浮遊して、その存在自体が透明で気高い。
楊貴妃のクールな表情を観ていたら、遠い日を思う哀しみ
もう戻ることのできない虚しさが静かに伝わってきました。

玄宗皇帝との日々を思いながら舞う、手踊りの一瞬、一瞬。
手が止まったらフワッと形が消え、また美しい手になってフワッと形が消える。

水が木の葉を伝わって輝く雫となる一瞬、のような連続。
雫となってきらめき、葉からこぼれ落ちて消えていく、そんな
水の生命、自然の儚さ。うー、なんて美しい瞬間なんでしょうか。

人が、こんなにも崇高な魂を描くことができるのか、と心が震えました。

神秘です。凄い、すごい、スゴイよー玉さん。澄みきった世界。

カーテンコールも、カーテンコールと言うよりも
ひとつの幕として、楊貴妃の世界の完結編といった感じでした。

丁寧に手足をのばして、膝を立てて、頭を伏せて、すべての所作が
素晴らしくしなやかで、思いが込められていて、胸が高鳴りました。
いつものカーテンコールとはまったく異質のもの。
最後に「楊貴妃」を披露されたことの意味を思いながら
手が痛くなるまで拍手を送りました。

伴奏のお琴や胡弓の演奏のみなさんの姿が見えているので
あの緊張がピーーーンと張り詰めた舞台上の演奏で
指が震えて弾けなくなるなんてことは、ないのかな、と
余計な心配をして勝手にドキドキしてしまいました。
プロフェッショナルですもんね、素晴らしい演奏でした。

玉三郎さんは、偉大です。底なし沼ですね。
何回観ても、新しいのです。
「で、まだ行くのかい?」「当たりめえよ」

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行き足りない…

楊貴妃の神秘的な世界に魅入られた桔梗さんの感想を読んでいると、
舞台を観ていたときの切なさが甦ってきます。

カーテンコールに至るまで、優美で本当に夢のよう。

今日も一曲終わるごとに、心は遠くに奪われたまま、
抜け殻の自分が客席で座ってて。
骨抜きにされちゃったわけですな。

毎日通いたいです。

おっと、今日も!

くるりんさん

いいなあ~今日もあの世界へと
誘われたのですね~。

ほんと神秘体験で、まばたきしちゃいました。

今までも「楊貴妃」を拝見しておるのですが
今回、ますます透明度を増していて
終始、魅了されっぱなしでした。

雫を連想したのですが
あの衣裳の「水袖」という言葉も
あとから気になりました。

骨抜きという言葉がぴったりですよね。
腑抜けもいいかも。とにかく抜かれちゃうんですね魂を。

毎日行っても行きたりねえ~!
もっともでございます。

魂はよびもどされたけれど

とばりの奥から最初に登場した時の楊貴妃は、幽霊のときの杜麗嬢状態で、魂がまだ頭上にふわふわ漂っている感じ、それが、帝からの手紙、金色の紐を持ってからは、ぱっと魂がからだに入ったかのように、生き生きとして、動きもきびきび、表情がだんだん豊かになります。ほーっとため息です。

夢のような舞台ですが、しょうもないことも楽しんでいます。
3年前に、はじめて「楊貴妃」をみたとき、扇をいつ持って、いつ離しているのか、わからず、翌日のチケットを買った理由のひとつは、それを確かめたかったというのがあります。
今回は、スクリーンのそばからではなく、長唄さんたちの座る台のかげから、広げた二枚の扇を受け取っていました。後見さんは、頭が見えないように、中腰で待機、しのびよっているのでしょう。しんどそう。
うしろ姿をくずさないて、受け取っているのをみるのが好きです。とにかく、どこもかしこも、すてきな舞台です。

玉三郎さん、また歌っておられるようですね。桔梗さんが次にご覧になるときは、さて、どうでしょうか。ま、まだ何度も行かれるでしょうから、チャンスはいっぱい、ですね。

なるほど

京にんじんさん

楊貴妃の「魂」の見え方もいろいろですね。
私は、ずっと頭の上に「魂」が浮遊していて
人間のように身体の中にはもう、永遠に戻ることは
無いのだな、と見ていました。カーテンコールも
まだ、人間ではありませんでしたね。
幕が閉まって、玉さんに戻るその瞬間が見たい(笑)
いずれにしても、研ぎ澄まされきった玉三郎さんの世界、
素晴らしいですよね。ほんとに夢の中の出来事のようです。
(あんなキレイな夢は見たことないが)

この間、二階から拝見した時は、確か
扇はあらかじめ、長唄さんの台のすみに置かれてあり
玉さんがスッと自分の手でそれを取り上げていました。
途中でお弟子さんが台に置きに来られたのかどうかは
見ていなかったのですが、玉三郎さんは、その辺の所作も
さりげなーくやられますよね。お見事。

以前、NHK「スタジオぱーく」で楊貴妃の扇の扱いを
玉さん直々に伝授してくださったときのことを思い出しました。
「空気を切らないで、ほにゃららほにゃらら」
あの衣裳、あの舞台で拝見すると尚一層、神業に思えます。

そうですね、また歌を歌ってらっしゃうようですね。
その日の気分なのでしょうか(笑)きっと、これからも
また歌われるでしょうね~♪♪♪楽しみです。

楊貴妃

生きとし生けるものすべての魂が浄化されていくような玉三郎さんの舞
でした。
その代わり、みんな魂を抜かれています。
あまりの気高さに、涙が出ました。玉三郎さんそのものが見えたような気がしました。
美しいです。あくまでも美しいです。
時間も空間もすべてが美しいです。

生きていて良かった。玉三郎さんのファンで幸せです。^^
たった1回でも玉三郎さんにお逢いできるだけで幸せ者です。^^



浄化=骨抜き

まるこさん

とうとう、ついに、ご覧になられて、
魂抜かれていらっしゃいましたね!

いつものまるこさんと、違うもん~。

もう、魂飛んじゃってる感じですね~。
本当にただの「美しい」じゃなくて
稀に見る、奇跡のような「美しい」ですよね。

玉三郎さんという方に出会えて、
その存在を間近に観て、感じることのできる
幸せに、感謝します、ですよね。
涙がでちゃうのもわかります。

今は何を言っても、
まるこさんの目が、♥ ♥ですね。

夢にどっぷりと浸って、おやすみください~☆☆☆彡

扇のありか

桔梗さん

魂のありかについては、見え方、感じ方がすこし違っていたのは残念ですが、ま、どっちにしても夢幻の世界にはちがいないので、措いといて、問題は、扇のありか!(”!”をつけるほどのことでもないけれど)

あらかじめ台のすみに置かれていた!(また”!”) そうかも、とハッとしました。わたしは、最初にみたときに、あっ、あの台の下からさしだしたんだ、と決めつけて、その次からは、後見さんの手やら頭やらがみえるかな、どうかな、と探っていて、その間、玉三郎さんからは目を離していたわけで、あーもったいないことをした、とつくづく反省しています。

カーテンコールはきっちりと様式化されていて、一幕のようでしたね。
またいこーっと。

いずれも、ありか!

京にんじんさん

魂のありか!について、私も、今度行ったら
また、無の境地で眺めてみたいと思います。

扇のありか!については、ちょっと不安も、
でも、確かに台に置いてあったと思います。
玉さんが自分で取る、という行為に、
ちょっとした新鮮みがあったので脳裡に焼きついていました。

そんなの、ありか!こんなのも、ありか!
と、楽しめるのも、玉さんですね(駄洒落です)

またいこーっと。

ここは何処の世界?

桔梗さま、皆さま初めまして。玉様初心者の者です。

12日(水)と13日(木)に地方から日生へ遠征いたしました。

すべて初めて拝見した演目だったのですが、中でも楊貴妃に心奪われました。

両日とも「憂き世なれども」から最後まで歌っておられたのですが、
よく通るその歌声を聞いていると、
貴妃さまは生きているとき皇帝に心から愛されてとても幸せだったのだろうけれど、それだけに、なぜ私は恋する人を地上に残して一人ここにいるのだろう?と自分に問いかけているように見えてしまい、思わず泣いてしまいました。

いままで味わったことのない感情でいっぱいになり、自分は今どんな世界にいるのだろうと、舞う貴妃さまを見ながらずっと考えていました。

12日はスタンディングオベーションでした。
私は三列目にいたのですが、一、二列目の人たちがみな立ち上がってしまい、かの人の麗しいお姿が見えなくなってしまったので立たざるをえませんでした。後ろからもおばさま方がわらわらやってきて、それは熱狂的な幕切れでございました。

13日はなにもなく、演奏の方々への拍手もなくおとなしいお客様方でした。

あっ、そういえば12日は藤娘の一番いいお写真(19番だったかな?)が完売御礼になってました。

かわゆかった~!!!
お酒に酔った娘ってあんなに可愛いのですね!!
ご挨拶でそばに寄ってきたときドキドキしちゃいました。

それから、傾城の時に特に思ったのですが、玉様は客席の人の顔って御覧になっているのでしょうか?

吉永小百合さんが昔インタビューで「あの方はとても目がよくて、舞台を見に行くとあとで、どこどこのお席にいたでしょう?とか言われる」とおっしゃっていましたが・・・

見ているようでその目には現実世界のものなんて何も映っていないのでしょうか。
私には恋しい男を思う部屋には私一人だけ、と見えてしまいました。

玉様の舞台を拝見するたびに素晴らしいものを見た、という幸せとともに断絶されたような寂しさも必ずつきまといます。










やさしい~すこっぺ さん!

すこっぺさん

はじめまして。
コメントをありがとうございます。
観劇後の感激&感動が伝わって参りました。

連チャンでご覧になられたのですね。

>なぜ私は恋する人を地上に残して一人ここにいるのだろう?
 と自分に問いかけているように見えてしまい、思わず泣いてしまいました。

そのように感じられるなんて、すこっぺさん
とてもやさしいですね。きっと楊貴妃も
そういう気持で舞っているのかも、と思ってしまいました。

顔にはあまり表情が無く、歌を高らかに奏でるって、
とても難しいのではないでしょうか。
それだけに、思いが歌に凝縮されていましたね。

12日はそんなに盛り上がったのですか!
私が見た日はスタンディングはありませんでした。
すこっぺさんのように、後ろの方が気になっちゃいますよね。
立ちたいけど、でも。。。ってね。
でも玉さんは、きっと嬉しいでしょうね。難しいところですねえ。

>ご挨拶でそばに寄ってきたときドキドキしちゃいました。

わかります。三列目ですと、すぐ目の前ですもんね。
おーっ、来た来たー藤娘ーっe-274
舞い上がっちゃいますよね。照れちゃったりして。

>玉様は客席の人の顔って御覧になっているのでしょうか?

目がとても良いそうですよね。演目によって
客席をご覧になるときと、そうでないときが
あるように思います。でも、客席をご覧になられると
あ、目があっちゃったーって、勝手に思えて嬉しかったり
こっちも見てーっカモーン(笑)て思ったり。

「傾城」では、やはり世界が完結されているように
思えます。心の内のある人(男)を見ているって感じで。
あまり客席は見ていませんよね。
功一さんとは目が合いました(笑)

>玉様の舞台を拝見するたびに素晴らしいものを見た、
 という幸せとともに断絶されたような寂しさも必ずつきまといます。

とてもよくわかります。怒涛の感動が押し寄せるのと同時に
立ち入ることのできない孤独感といいましょうかね。
終わってしまった寂しさもありますよね。
でも、それがあるから、また良いのでしょうね。
それがあるから、また行っちまうんですな。あはは。

玉三郎さんの素晴らしい世界を、これからも
一緒に満喫していきましょーねー。

またコメントくださいね。
どうぞよろしくお願いします。

プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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