”便利さ”より、”すぐれもの”@チャリティトークショー〈前半〉

16日(土曜日)のチャリティトークショーでは、
震災で気づいたこと、今後の暮らし方について、などの話が、
自然に、玉三郎さんの生き方や芸道の話へと繋がっていきました。

日々の暮らし方が、生き方そのもの。玉三郎さんという方は、
おかしいと感じた世の中の事柄から目をそらさず、きっちりと
深く考え抜いて、常日頃から自分の言葉で整理されていらっしゃるのだな、と。
その一言、一言が、ずっしりと心に響きました。

印象に残ったお話を、(メモと記憶の限り)ご報告したいと思います。
マークは玉三郎さんの発言、マークは、私の感想です。


自粛ムードについてどう思われますか?

僕たちの仕事は派手な仕事。こういう時は、やりにくい部分がある。
そこをどうやっていくか難しい。そんな中、この南座では
お客さまから、今日、やって良かったね、という拍手をいただいた時に
あーやって良かったと思う。いつも幕が終わるまではやっていいのかな、という気分。
節電といっても楽屋では灯りがないと顔もできないし暑くちゃ衣裳も着れないし
電気使っているわけで、気分は重かった。

今回の南座で、私は普段とは違う劇場内の一体感を感じました。
玉三郎さんの舞台芸術に触れて、震災へのどうにもできない思いや弱っている気持ちが
束の間、解放されて癒された気がします。カーテンコールでは、隈取りで
歓声に応える玉三郎さんの姿に、涙が出ました。

今、東京の夜が暗い。その方が落着く気がするが?

僕はもともと都会ッ子なんで、ネオンがないと淋しい人間だった(笑)
この年になると闇が闇でないとイヤなんです。
山鹿や佐渡へ通って人間を回復できるっていう空間にいられたので
それを充分に味わったら、東京の明るさは不自然に感じる。
東京に帰ってきて、駅とか売店とか必要以上に明るくて、異常さを感じる。
駅にあるブランドの看板とかモデルのお化粧が濃すぎて不健全な感じがする。
着飾ったりとか、そのポーズとか。。

なぜ、あんなにモデルのメーキャップが派手なのか、とおっしゃった時の
不可解な、困ったような表情が印象的でした。佐渡や山鹿の自然に浸る時は、
完全にスイッチオフになるんですね。

僕の方が自販機のことホームページで言ったの早いんです、都知事よりね。(拍手)
自販機は企業の死活問題になるからいいにくいけど
自販機とか、TVのつけっぱなしとか、やっぱりそっちを自粛しないと。

先週から考えていたんだけど、便利っていう言葉を
もっとちゃんと解釈しないといけないかな、と。
たとえ便利でも、世の中に害があって人に迷惑をかけても、便利って言っていいのか、と。
明るいから便利とか早いから便利とかお湯入れるだけだから便利とか、
そういう便利じゃなくって。。。だから、便利という言葉を使わないで、
(人にとって本当に大事なものは)”すぐれもの”って言った方がいいのかな、と。

じゃ、すぐれものの定義を言えますか?

作っている方は考え抜いているんだけど、使っている方は、
効率じゃなくて、こんなことでこうなるんだという妙が出て来る。
便利ではない。たとえば、ゴシゴシタオルの場合、木綿だと肌が痛むんだけど
絹のくずで作った絹のゴシゴシタオルは肌にいい、これはすぐれもの。
便利ではない。そういう風に解釈したいかなと。

いい例ですね。(以下、真山氏)
最近、わかりやすいことがいい、という風潮がある。じつは便利と同じ意味。
そろそろ見る側、読む側、使う側を選ばなくちゃいけない。選ぶっていうのは悪い意味ではない。
発表する側と、受ける側が、いろんな工夫をすることが大事。
よりよくいいものが出て来る時代。。片方が何もしないでいるんじゃなくて
少し不便だけど使ってる側がそれを理解すると充実感が出て来る。

玉三郎さんの中で変換された「便利」→「すぐれもの」の定義が
面白いですね。最初にクリームの例を出されたんですが、真山さんが無反応で、
するとすぐに絹のゴシゴシタオルの例を出されて、その機転の早さにも唸りました。


蝋燭一本の炎で始まる物語「将門」では。我々の中に眠っていた感覚。
揺れる蝋燭の炎を見つめて考えることや、その周りのほのかなあかりで
いろいろなものがきっとここにはいるんだろうなとか
そういうことを思い出した。日本的なことがらが今こそ大事なのでは?


自粛もね、舞台を蝋燭でやったりしたらいいんじゃないかと話している
最低、お客さまがご覧になれる灯りはつけてメインのところは蝋燭にして創ったらいいんではないか。
江戸時代は蝋燭や昼間の窓の開閉で自然光を入れてやった。

玉三郎さんの蝋燭の舞台、凄くいいですね。拝見したい。
きっと、ライトでは見えなかった部分、いろんな魂が見えてくる気がします。

獅童さんは、今回、人間代表で妖怪に立ち向かっていますが、
普段以上に気持ちを強くっていうのは考えているか?


神話は日本の根底に流れている。目に見えるものがすべてではなくて
一人の男性として、目に見えないものに立ち向かっていく強さを大切にしている。

↑ここだけ獅童さん(少なくてすみません)


日本人と感覚の違う外国の人と共演するときはどうか?

結局、海外の人とやるのでも、根本で求めているものが同じ人しか
仕事はできない。そういう人とは、なぜ言葉が通じないのかなって思う。
モーリスベジャールさんと仕事したとき、御互いに話したわけじゃないのに
同じことを感じ、こう変えたらいいんじゃない、と同時に思っていた。
通訳が、あっちも同じこと言ってるよ、と。感覚的なもの。

こういう話しをされる時の玉三郎さんには、内に秘めている
芸術に対する魂のマグマというか、熱い塊を感じます。
舞台の上でも、そして舞台を降りた普段の暮らしの中でも、
人の心、魂を、何より尊重されている玉三郎さんなのですね。

後半へ続きます。







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「マグマ」に反応

トークショー、思い出しています。さすがに鮮やかな要約、どうもありがとうございます。

で、ちょっと違うのですが、「マグマ」に反応しました。
本屋さんで、真山仁「マグマ」(角川文庫)みて、開いたら、プロローグの最初の一行が「五年以内を目処に、日本の原子力発電所を閉鎖して欲しい」
すぐに、レジに持っていきました。まだ読んでませんが。
そして、扉の言葉が井上陽水せんせいの「ワカンナイ」からの抜粋。

地熱発電の話らしいです。孫正義さんの記者会見をみて、そっか、次は太陽光発電か、と思っていましたが、地熱もありうるのか、読まなくちゃ、と思っているところです。

といいつつ、「チャリティーコンサート」のメンバーズのお知らせ、早くこないかなあ、と待ちながら、予定曲目の調査などしています。

カタカナ

京にんじんさん

真山さんの「マグマ」は知りませんでした。
「ペイジン」でも中国の原発問題を取り上げて
いるのですよね。

「ハゲタカ」にはじまり、「プライド」や
「レッドゾーン」などなど、ほぼカタカナなんですよね。
こだわりが、あるのかな。ゲン担ぎかな。

いっそ、マヤマジンにするとか!(関係ないですね)

地熱発電ですか。興味深いですね。
井上陽水の「ワカンナイ」は、面白い歌で好きです。

私も、「マグマ」をレジに持って行こうっと。(笑)

コンサートの歌についても、
いろいろ知りたくなりますね♪


No title

桔梗さん こんばんは
将門の最初の蝋燭の灯りで玉三郎さんが登場するところ一生忘れないだろうなっ・・すごく良かった

明かりについても玉三郎さんが子供の頃 蛍光灯が入ってきたけど元の明かりに戻してもらったって本に書いてあったので驚いたことあります

たまたま自分も歳をとってきて蛍光灯はまぶしいので自分の部屋はアンティークランプにしてありますが とても落ち着きます

モーリス・ベジャールさんが高く評価したお二人 玉三郎さんが日本や中国で、シルヴィ・ギエムさんがパリやロンドンでチャリティー公演をされ 芸術的に極めた人は何か違うと感心しています

それにしても桔梗さん すごい記憶力です☆
トークショーの内容詳しくお知らせくださってありがとうございます☆


テロップ

ひょっとしたら、後半の部で出てくるかもしれませんが、私が聞いた玉さまのお話で印象に残っているのは
「テレビを見てると、最近、やたらテロップが出てくるでしょう。あれって必要なの?」ってところで、私もそれは常々感じていたので、玉さまの前で大きくうなずきました。

タレントさんが話している言葉、それもそう大して重要じゃない、バカバカしい言葉をいちいちテロップに出して知らせる必要があるんでしょうか。あれって、視聴者をバカにしている、あるいは国民全員を阿呆にしようとしているテレビ局の策略かしらと思います。

自動販売機や24時間コンビニの問題もそうだけど、何もモノを考えなくても、生きていける社会になっています。脳みそのシワがなくなって、ツルンツルンになっているような気がします。

舞台の照明でも、隅々まで明るくして、お客さんが「想像する」余地が残ってないんですよね。昔は自然光とろうそくだけでやってて、お客さんはそれでちゃんとお芝居を楽しんでいらっしゃったんですからね。見えないところは、想像力で補い、それがまた芝居をナマで見る楽しみだったんでしょうね。

「便利」「わかりやすい」のがいいのか?というのを今回の震災を通して改めて考えていかないといけないと思います。

小さい時から

としこさん こんばんは。

玉三郎さんの感受性、すごいですよね。
蛍光灯のお話も、お父さんがさぞ喜ぶだろうと
変えたら、シンちゃんは。。。(微笑)

飛行機から眺める日本の明るさについても
東京だけでなく全体にちょっと明るすぎる、
とおっしゃってました。

ヨーロッパでは、住宅で蛍光灯を使っている家はない、
などなど、灯りについてはいろいろ指摘されてましたね。

私も蛍光灯は好きじゃないので(聞いてない?)
家は電球系統にしています。落ち着きますよね。

玉さん、もっといろいろ話されているので
私が覚えているのは(メモしていた部分)
すべてではないんです。

でも後半も頑張って書きたいと思います。
俺!発言も、出てきますので(笑)

ほぉ~

おとらさん

テロップのお話は、16日は出ませんでした。

確かに、内容によってバラエティとかの
どーでもいーようなコメントを
テロップにするのはどうかと思いますよね。

ただ、耳の不自由な方が、テロップのおかげで
テレビを見ても内容が理解できる、と
発言されているのを聞いたことがあって
そういう意味では必要なのだなとも思っていました。

ただ、テロップの誤字がけっこうあって
テレビ局が文字校正などチェックをしないで
たれ流している感も否めません。

玉三郎さんが見ているテロップの番組って
どんなのかな、なんて違うところで興味を惹かれました(笑)

確かに、すべて受け身で情報も物も与えられる時代ですよね。
昔は知恵とか工夫とか、頭を使って、心を使って
もっと生活を楽しんでいたように思います。

人間にとって何が大切なのか、
いろいろと突ききつけられるこの頃。
玉三郎さんは、この20年近く、ご自分で節電もされて
きたそうで、その辺の答えが明確で
すでに実践していらしたのだな、ということが
よくわかりました。凄い方ですね。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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