嬢様の眼差し

博多座で「高野聖」を拝見した感想の続きを書きたいと思います

今もハッキリと思い出すことができるくらい、嬢様の「眼差し」に
求心力があり、実に、多くのことを語っているように映りました。

宗朝が、不意に孤家を訪ねてきたとき、嬢様は、
「またたきもしないで、すずしい目で私の顔をつくづく見ていた」
と原作にあるように、すぐには宗朝を受け入れはしません。

しかし、その少し後に、ふっと表情が変わって、
「あぁ、お泊め申しましょう」と言うのです。
あれ?なぜ?と思うのですが、その一瞬で、嬢様は、
宗朝を包み込むような優しい眼差しに変わり、
そうか、嬢様には人の内面までをも透視するような何か特殊な
能力があるのか、と思わせるんです。その一瞬で。
想像に過ぎないのですが、そう思えてくるから不思議、そこが凄いなあ、と。

嬢様が、桶を抱えて手拭を帯に挟み(こういう仕草のひとつひとつが美しい)、
宗朝と湯浴みに出ようとすると次郎が「坊さま、坊さま」と頭をさすって
嬢様に呼びかけるのですが、それに応えて、嬢様が次郎に近寄って言う
「うん、うん」と頷く声が、何とも言えなくいいんですよー
愛情がこめられた、とても深いニュアンスのある「うん、うん」。
小説では味わえない、その声が、とても鮮明に、心に残っています。

今回も、嬢様と宗朝が、客席の通路に降りる山歩きのシーンがありました。
一番上手の通路からぐる~りと最後方を回って花道へ。
歩いて行く道筋に、どよめきと拍手が起こります。嬉しいですよね。
二人を照らすブルーのライトは、あとあとも象徴的に使われます

ムササビがふいに飛び立ってドキッとしたり(私は剥製が大の苦手なので
ムササビのリアルな”毛”が恐くて恐くて)、後ろから抱きつこうとした
けっこう大きな猿を、嬢様が「お前達は生意気だよ」と蹴飛ばすと笑いが起きたり。
愛嬌のある猿は客席にも何かを語りかけてくるので、ぐふっと笑っちゃいました。

湯浴みのときの「誰も見てはおりませんよ」は、やはりカットされていました。
歌舞伎座では、ここで笑いが起こり二人の空気が遮断されたので、納得です。

嬢様の目がギラリと鋭く変化したのは、孤家に帰ってから。
動作と動作の間の一瞬、一瞬で、宗朝を見つめるのですが
キュッと突き刺すような眼差し。ゾクッとしました。

そして、前回、最も印象に残った「馬をなだめる』シーンは
大きく、演出が変わっていました。
嬢様が、正面に向かってまっすぐ歩み出て、その時
ブルーのライトが、嬢様をパッと照らすのです
すると嬢様は直角に曲がって、馬の方へ歩み
舞台の際で(すぐ目の前で)、後ろ姿になって浴衣を降ろし
もろ肌を晒すのです。うわぁ~~~!何とも艶かしい。
その背中に、「母性」を感じることはありませんでした。
どのような意図で、あのような演出に変えられたのか
玉三郎さんに聞いてみたい!やっぱり、一番気になるシーンです。

宗朝が、嬢様の奇妙な声に目を覚ますところも、今回は、
映像になってスクリーンに映し出されました。
宗朝の煩悩、恐怖、そして、、、。

獅童さんの宗朝は、自然で、男っぽくて
とても繊細な印象を受けました。

そして
嬢様は、強い女だな、と。
いや、女は、強いな、かもしれません。

観て、感じて、想像して、思う。

自分の内面が映し出される「高野聖」は
二回観ても、まったく飽きない。
面白さがどんどん膨らんでいくのです。
観るたびに、新しくなる作品のように思います。










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女・・・

やっぱり、母性じゃなくて、女かなぁ・・・
なんと言っても、あの場面は強烈でしたもの。
ぜひ、玉三郎さんにお聞きしてみたいですね。

ますます、引っ張ってきたくなったわ。^^

桔梗さん、今夜は眠られます?

今夜は

まるこさん

まだ寝ておりません。
玉さんの舞台について、いろいろ思い巡らせています。

母性も、女ではあるのだけど。。。
生々しい女を、幻想的に描いている感じがしました。
次郎の髪を梳くという行為をやめたのは、
現実から離れるためのかな、と思ったり。

でも馬の頭を抱え込んでなだめるところでは
色というよりも愛を感じるんですよね、前回から。

なーんてことを考えるのも、
「高野聖」の楽しいところです。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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