「玉三郎さんが誘う、阿古屋の世界」へ@東劇

21日に東劇で開催されたJR東日本「大人の休日倶楽部」のイベント
玉三郎さんの舞台挨拶+シネマ歌舞伎「阿古屋」上映会に行って参りました。

今回、会員限定企画で400名ご招待のところ
なんと5600通もの応募があったのだそうです。うひゃー、すご過ぎます。
私は、会員のM様にお声をかけていただいたおかげで
幸運にも参加することができました。ありがたき幸せ。
倍率を知ってさらに頭を垂れ、もうMさんに足を向けては寝られません。
(どっちの方角かわからないのですけど。)

当日、東劇3階へ指定席券をいただきに。すると
前方のお席、中ほどのお席、後方のお席の3つの受付があって
見たいスポットを選んでランダムに指定席券をいただくという方式でした。
うー、どうしよう、やっぱり前だよね、でもどんな前なのかな、でも前だよね、と
一瞬、自問自答。すると前方のお席の受付の方が、大きな声で
「今回は、映画より、生の玉三郎さん!という方は前方のお席でどうそ。
こういう機会はなかなかありません」とおっしゃられて、そうだよその通り、
玉さんだよ!前だよ前!映画だってかぶりついてもいいじゃないか!と即決。
前から3列目のグリーン車指定席券をいただきました。

劇場に入ると、檀上に2つ椅子が置いてありテーブルにはお水が。
舞台挨拶というより、対談の設えです。玉三郎さんが喉が渇いてお水を
飲みたくなるほどお話していただけるのかもしれない、と
そばにいらした劇場の方に、玉三郎さんのお話は何分ですか?と尋ねると
「玉三郎さんのお話は20分程予定しております]とのお返事が。
おおお~、それ早く言ってよ~、とは言いませんけど、内心大喜びです。
前置きが異常に長くてすみません。

いよいよ玉三郎さんの登場です。舞台の袖からかなと思っていたら、
一番前の扉が開いて、玉三郎さんがスーッと現れました。
ツィードジャケットに黒いズボン、白いワイシャツに、美しい光沢の
シルバーグレイのネクタイで颯爽と。途端に爽やかな風が吹気抜けました。
同じカーペットの上を歩いていらっしゃるなんて、と、いちいち感動。

最初に玉三郎さんが「みなさま、こんにちは」とおっしゃられて、
そのイントネーションが「こんにちは」じゃなくて、「こんにちは」、
と下がったので、「ほんじつは的な、「こんにちは」、
かなと思ったのですが、一瞬間があって…空白が(笑)。あの時、
こちらも、「こんにちは」と言えばよかった、と後で悔やみました(笑)。

司会進行の方が、質問をされて玉三郎さんがお答えになるのですが
当意即妙、ピシャッと簡潔、深いお話の中に洒落っ気があって
いつものことながら玉三郎さんの明晰な受け答えがカッコ良くて、撃沈。

「僕が編集に関わることで、歌舞伎のどこを見ればいいか、専門家として
カット割りを選んで差し上げることができる」と編集の意図を、とても丁寧に
わかりやすく解説してくださいました。喋っている役者の顔をアップにすればいいのか、
その言葉が右隣の人にもかかっている場合、または左隣の人にかかっている場合
3人のカットで見ていただいた方がお客様がより理解しやすいのではないか、
など、その時々で歌舞伎のツボがわかるカット割りを選んでいらっしゃること。
それを、いかに説明的でないカット割りにするかが大事であること。
「歌舞伎座ではそのカット割りはされていませんので」とおっしゃられて(場内爆笑)。
それを聞いて、なるほど!と。玉三郎さんが編集されたシネマ歌舞伎を観るということは、
玉三郎さんの専門家としての視点で歌舞伎の世界へ,、そして阿古屋の世界へと
誘っていただくことなのだわ、と。
歌舞伎座では玉三郎さんばかりを観てしまうので、そういう意味でも、
歌舞伎を観る目を開かせていただけるシネマ歌舞伎なのだな、と
あらためて感慨深い思いがいたしました。

「阿古屋」という芝居は、平家が滅んでいくということを、阿古屋の体ひとつで
すべてが語られていくということが面白い。言葉がとても美しい芝居であること。
作家が演者に任せた戯曲、ほかにはあまりそういうものはないとおっしゃいました。
お話をしてくださる中で、「ラ~ラりラララ~」と阿古屋の弾くメロディを口ずさまれたり
景清が格子戸越しに阿古屋に声をかけるように「元気か、お前達者かっ」と
景清の声で語ってくださったり、阿古屋の「我が妻の~」と台詞を言ってくださったり。
とにかくサービス満点、盛り沢山で、ためになるお話を沢山聞かせてくださいました。

シネマ歌舞伎「阿古屋」は、制作に約10か月ほどかかったそうです。
修正を繰り返して、MA(Multi Audio)作業で音をつくりこんで、劇場で聞いているような音
でありながら、なおかつ美しい音をめざしています、と。劇場の雑音を取る作業など
いろんごな苦労がおありなんだなということがわかりました。

「阿古屋」の演奏で、万が一弦が切れた時のために裏には専門家の方が
楽器を2つずつ準備して待機しているのだそうですが、この20年間で、弦が切れてしまったのは
胡弓の1回だけ、だったそうです。お稽古風景では、三味線の弦が切れてしまったシーンが
あるのですが、あの時の玉三郎さんの表情やしぐさが、いいんですよー(萌えポイント)。

書き出したら止まらなくなってしまいました。
玉三郎さんの解説でシネマ歌舞伎を観ることの楽しさがいっそうふくらんで
その後に拝見したシネマ歌舞伎「阿古屋」はひとしおでした。
すでに2回観ていましたが、昨日は、3列目でかぶりついてドドドアップで
玉三郎さんが選んでくださったカット割りを味わい尽くしました。

舞台挨拶の域を超えたトークショー、最高でした。
玉三郎さんとJR東日本さんに深く感謝申し上げます。
そして、ぜひとも、またお願いいたします!

とても寒い一日でしたが、心はポカポカ。夕空がとてもキレイでした。

3DSC_0383_convert_20170223142251.jpg

コメントの投稿

非公開コメント

20分とは!

ほんとトークショーですね。
レポート、ありがとうございます。

「平家が滅んでいくということを、阿古屋の体ひとつですべてが語られていく」・・・ なるほどなるほど。
いままで考えたことはありませんでした。

「その言葉が右隣の人にもかかっている場合、または左隣の人にかかっている場合もあるため3人のカットで見ていただいた方がお客様がより理解しやすいのではないか」・・・ にも、なるほどなるほど。
「説明的でないカット割り」にも納得です。

シネマ歌舞伎「阿古屋」は2回見ましたが、ご指摘の内容をふまえて、もう一度、見たくなりました。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

音へのこだわり

桔梗さん、貴重なお話をありがとうございます。

舞台を観に行く時にはやはり玉三郎さん中心に観てしまうので
玉三郎さんが重要と思われるようなカットを入れていただいて
改めて見えてくるものがありますね。

私は耳が悪いのか音域で聞き取りにくい部分があり
歌舞伎座ではあまり聞き取れなかったな、と思うようなところも
シネマ歌舞伎ではくっきりと聞こえて、音ひとつひとつへのこだわりも
わかりました。

トークショーの模様をお聞きして、またどこかで
シネマ歌舞伎の『阿古屋』を拝見したいなと改めて思いました。

ps
さっきテレビを見ていたら急に玉三郎さんが!
肺炎予防の啓発CMだったみたいです。お着物姿で
多分、これです。

https://www.atpress.ne.jp/news/122626

こんにちは。^^

初めて「阿古屋」を観た時の、歌舞伎座のあの緊張感が忘れられません。息をするのも遠慮がちで、これが生の舞台だ!と震えました。
それより何より、生玉三郎さんですわ。^^

21日、私は国立劇場で長唄を聞いていました。プロの演奏家はそれぞれがご自分の音をお持ちで、でも、うちの師匠の音色が一番!でした。^^

もう一度。

京にんじんさん

こんにちは。

玉三郎さんの解説を聞いたら、また観たくなりますよね。
阿古屋という歴史を背負った傾城の物語。
玉三郎さんは、阿古屋がどんな性格だったか、強い女性か弱い女性か、
ということは問題ではなく、自分で観たまま、
感じたままを受け止めればいい、ともおっしゃっていました。

「藤娘」と「日本振袖始」で楽屋裏の映像を編集して
とても好評だったので、今回は「大幅に!」取り入れることになった、
ともおっしゃって、「大幅に!」が楽しくて場内沸いていました。
毎回、いろいろ工夫を凝らして観客を楽しませようとしてくださる
アイデアマンの玉三郎さんの顔が沢山、垣間見えました。

JR東日本の方が400名のところ5600名で倍率が11倍、とおっしゃって
玉三郎さんも、それなら11日間、皆さんに来ていただいた方がいいのでは、
なんて笑いながらおっしゃっていました。本当にそうですよね。
後で考えたら11倍じゃなくて14倍じゃないかな、と(笑)。
それとも500名招待してくださったんでしょうか。
それはともかく、とにかく応募多数ということにかわりはなく
玉三郎さん人気は40年以上も、ずーっとずーっと圧倒的で、
こういう役者さんはほかにいませんね。

玉三郎さんは、シネマ歌舞伎「阿古屋」が23日で
いったん上映が終わることを、皆さんに沢山来ていただいているので
もっと続けられればいい、終わることが残念、ともおっしゃっていました。
でも、3月4日からは「藤娘」と「二人振袖始」が封切りです。
こちらも、とても楽しみです。
こちらもぜひ解説を伺いたいですね。

JR東日本の旅企画をちょっと考えてみたのですが(笑)
「玉三郎さんと旅するシネマ歌舞伎列車」と題して
東京ー仙台間を、最初に玉三郎さんに解説をしていただき
シネマ歌舞伎を観たら、あっという間に2時間経って
仙台に到着。その列車には鼓童の皆さんも乗っていて(笑)
仙台で誘われツアーを開催していただき参加する、という企画です。
でも、玉三郎さんのクローンが16人いないと
16号車すべてで同じ企画が出来ないのですがね。おほほ。
新幹線にスクリーン車両も作っていただかないとです。
わざわざ仙台に行かなくていいっちゅう話しですかね。東劇でね。
失礼をばいたしました。

次に玉三郎さんにお逢いできるのは、日生劇場でしょうかね。
その時は、京にんじんさんも!楽しみですね。

ありがとうございます。

〇〇〇さん

「俳優祭」に玉三郎さんご出演!
お知らせくださり感謝いたします。

どんな演目なんでしょう。
楽しみです、と言いたいところですが
チケット争奪戦が激しいので、どうなることやら。
行けるかな、どうかな。

楽さんの対談も応募してみましたが
今日、「落選」の通知が届きました(泣)。
玉三郎さんの倍率は尋常じゃないので
あきらめるっきゃありません。
でも、阿古屋の舞台挨拶には行かせていただけたので
良しとしなくてはですね。
運を使いきった感、ありあり。

俳優祭はテレビでも確か放送していただけたと思います。
それをあてにして、楽しみにしていましょう。

見えてくるもの。

パールさん

ほんとうに、生の舞台では、
玉三郎さんに目の釘が打ち込まれっぱなしで離れないので
シネマ歌舞伎は、玉三郎さんのカット割りで
勉強させていただこうと思いました。
玉三郎さんの視点で歌舞伎を学ばせていただけるのも
また意義深く、楽しいことですね。
阿古屋という物語をより深く、広い視点で感じることができました。

シネマ歌舞伎の音は、聞こえてくる方向にも
凝っているのだな、と感じることがあります。
花道の鳥屋がシャッと開く音が、
ちゃんと鳥屋の方向から聞こえてくるんですよね。
いつも身体がビクッと反応するんです。
ああ、ほんとに劇場にいるみたい、って。
音がすごく立体的だなと思います。

玉三郎さんのCMは、なかなか遭遇できなくて。
早く拝見したいのですが、ずっとテレビを見ていることもできないし
いっそ全部、録画しますかね。探すのが大変ですね。
ううう、がるるるる~(笑)。いつか見れるかな。
楽しみにしてますね。ありがとうございます。

阿古屋の思い出

まるこさん

玉三郎さんに撃沈した時、長唄をやっている友人が
それじゃ玉三郎さんの「阿古屋」を見なくちゃね、と言うので
「阿古屋ってなに?」とまったくハテナマークだった私です。
それから、両親を阿古屋に招待することができて
それが何よりの思い出になりました。
花道のすぐ横で、玉三郎さんの美のシャワーを浴びまくって
母も父も、とても喜んでおりました。もちろん私も。
あれから9年。両親はいなくなってしまいましたが
阿古屋を観るたびに、いい思い出がよみがえってきます。
それもこれも玉三郎さんのおかげです。
そんな想いを噛みしめながら、シネマ歌舞伎を拝見しています。

>プロの演奏家はそれぞれがご自分の音をお持ちで、
 でも、うちの師匠の音色が一番!でした。^^

素晴らしい!そんなお師匠さんのお弟子さんのまるこさんの音色もきっと一番♪
いつか「阿古屋三曲」の三味線を聞かせてくださいね。

プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク