「坂東玉三郎×十五代 樂吉左衞門」スペシャル対談 ①

京にんじんさんが、玉三郎さんと楽さんのスペシャル対談のレポを
送ってくださいました。とても細やかに、たっぷりと書いてくださり
まるでその場にいるような気分になって読ませていただきました。
行けなかったので、とても嬉しいです。どうもありがとうございます!
2回に分けて、ご紹介させていただきます。



行ってきました、「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 
スペシャル対談 坂東玉三郎×十五代 樂吉左衞門」、2017年2月8日
 14:30~15:30、みやこめっ せ(京都市勧業館) B1F特別展示場。定員:330名。

受付開始は14時、1時間待つつもりで13時に到着、
すでに20人くらいは並んでいました。主催者側も列作り用のロープを張って準備万端。
330人の定員はチケット完売、満席だったようです。

わりと前の方に座れました。
会場はフリースペースの前方に演壇とスライド装置が設定され、
演壇上に2つのパイプ椅子とミネラルウオーターボトルとグラスとマイク。
座席も全部同じパイプ椅子。

樂吉左衛門さん、玉三郎さんの順に登壇、その順に着席。
樂吉左衛門さんは、細身の体型で、ツヤのあるシワ加工生地のグレーの
ジャケットに黒いマフラー、黒いパンツを着こなして、かっこいいです。
樂さんは、「いつもは作務衣、今回は何を着ようかと考えた」とのこと。
玉三郎さんは、たぶんストライプのほとんど黒の濃紺スーツに黒っぽい
細いネクタイ、ふつうの白いワイシャツ。いつものレッグウオーマーが見えました。
靴はふつうの革靴。

樂さんが口火を切って対談が始まりましたが、樂さんの声、口跡の良いことにびっくり。
金剛流の弟子としてお能を学んでおられるとか、さもありなん。

樂さんと玉三郎さんは、長年の親しいお知り合いらしく、「ご当代」「奥様」「ご子息」にも
触れて、なんどか笑いも取りつつ、楽しい1時間でした。

いくつか印象に残ったことをあげておきます。樂吉左衛門さんは、「当代」で統一します。

○当代と玉三郎さんの出会い
 
玉三郎さんがヨーロッパを20代後半で旅行していたとき、当代はローマに留学中、
「あ、樂家を継がれる方がローマで勉強していらっしゃるんだな」と思われたそうです。
篠山紀信さんと「冬の旅」をしていた頃ですね。当代は現在67歳、玉三郎さんは66歳です。

○展覧会の感想
 
感想を聞かれた玉三郎さん、「きのう拝見して、あんまりたくさんありまして、
びっくり」とおっしゃりながら、「初代の頃の人たちが何代続いたという重圧がなく
解放されているような感じがしました」
 
十五代、次期十六代も含めて、全員の作品が並んでいて、スライドで映しながら
当代が解説、玉三郎さんが、「すばらしい」「すきです」と感想を加えられました。
初代の長次郎と当代の作品が一番多いのですが、当代いわく「これだけの規模の
展覧会は自分が生きているあいだはもうできないだろう」という規模だそうです。

○九代目(了入)の格闘と開放

とくに、九代目の三つの茶碗については、当代が熱を込めて解説されて、
印象に残りました。九代目了入は「中興の祖」と言われたそうです。
「長次郎から200年、いまからだと200年前、このあたりは、なにをやっても先祖が
すでにやっていてがんじがらめになっていて、必死で模索したと感じます」
「黒い茶碗は40代、ヘラのカキかたが挑戦的、白い茶碗は60代、最後のは70代、
こどもがけずったような、開放された気持ちが感じられる」

白い茶碗については、玉三郎さんも「すばらしいと思いました。昔のものに思えない。
奥様も樂家に来たとき、いちばん印象に深かったとおっしゃってました」
当代は、「お客様に、あのお茶碗を見て作られたんですか、と言われることがある。
当たっているところと当たっていないところがある。表現的に、ヘラを使ったというのは
似ているけれど、質的、気持ち的には違うけれど、ときどきそう言われる」

○樂家の「一子相伝」

 「樂家では特別な教え方をするんですか」と訊かれた当代の父は「一子相伝で伝えることは
教えないこと」と答えたそうで、それを聞いたひとが当代に「ほんとうはそんなことないでしょ、
内緒で教えてもらってるんでしょ」と言われて、当代は初めて父がそう言っているのを知り、
ムラムラと反抗心が起きて「親に絶対訊くか」と思った、とのことでした。見るのは先祖のもの
特に長次郎のもの。自分の目で見て、自分でつかめ、仕事の上でも、技術の上でも、
「盗め」とよく言われたとのこと。
 食べ物屋さんとかのような、同じ品質を保つための一子相伝とは違っていました。

○「型」は「たとえば」

 当代の「舞踊とか能などでは「型」というのも大事なことなんでしょうね」に対して玉三郎さん
「カタチというのは伝えにくい。「基本」ということなんでしょうけど、同じことをやってもひとによって違う、
こうじゃないかということをやっていって、そこに型があったりして、「たとえば」なんでしょうね、「型」というのは」

おもしろいですね、「型」とは「たとえば」なり。

当代も「確かに。仕舞の本位「しおり」「あげは」とか型が書いてありますが、型一つ、扇子を納
めるすがたそのひとつでも、ひとによってちがう」と共感。

 注:「しおり」は泣いていることを表す所作。「あげは」これも能楽用語。ややこしいので省略。

○当代はA型、玉三郎さんはB型

 玉三郎さん「自分の場合は、一子相伝がなかったので、そのぶん樂だった部分もある。
それから自分の性格上、B型なので楽なんです」
当代「きのう家内から「玉三郎さん、B型ですって」と聞いて安心した。親しくしているひとに
B型が多くて、A型は少ない。A型同士だと、波長が同じで、ドツボにはまる・・・」
A型なもんで、悲劇的になる、真面目、B型なので、飛ぶんです、など、あちこちで血液型が出没しました。

○当代の作品について

玉三郎さん「このへん苦しんでいらっしゃるわね、というと、案内の方が「天とう」の頃と
おっしゃってました。後半のアフリカのを、開放された感じ。好き、と言ったら、
奥様が、主人が喜ぶと思いますって」

注:「天とう」というのがどれか、同定できませんでした。図録を買ったのですが、
よくわかりません。おわかりになられましたら、教えてください。

アフリカのについては、民博でアフリカの仮面を見せてもらって、感じたことを
作品にしたものだけれど、高台がついていない、お茶を飲んでもらったら、
熱くて飲めないといわれたとのこと。

○夜と昼

京都での展覧会の間の対談で、ゴリラのフィールドワークをしている山極先生に、
「ゴリラの手は両面が黒い。それは昼間の大地の色。樂さんの黒は、夜、
月の光があたっている黒ですね」といわれて、ショックだったという当代。
理由は、若い時は昼夜逆転だったが、焼き物をやると決心したとき、
夜は仕事をしないと決めた、それなのに山極先生にそういわれて、
「やっぱり俺は夜か」とすごいショックだと。

それに対して玉三郎さんの「夜ってそんなにショックでしょうかね」に会場大爆笑。
玉三郎さん「すみません、身も蓋もないこと言っちゃって」
当代は「夜というのはどうしても山姥がシャーシャーシャーシャーと鎌をといでしまう感じがあって」

玉三郎さんの「真夜中のノート」を思い出しました。夜は友だちという感じです。


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実は、私も~

お久しぶりです。
実は、私もお話を聞きました。

恥ずかしながら、会場へ、一番のりだったんです。
一番前の座席をとりました。楽さん(玉三郎様が、呼ばれていました)の次に玉三郎様に近いのは、私と友達でした。
恥ずかしい!

一番前だったのに、メモもとったのに、皆さんにお伝えするとなると???

京にんじんさん、ありがとうございます。
パート②も、楽しみにしています。

感想を。

ちょんぱさん

気合い充分ですね。
一番前は確かに恥ずかしい(笑)。

どんなことが印象的でしたか?

私なりに、感じたこと

私の感じたことをつたないながらにお伝えします。

最初、玉三郎様が椅子に座られた時、足元にマイク?のコードがあり、少し邪魔?という感じになりました。
玉三郎様は、足先を綺麗にそろえられ、次にしゃがまれて、手で優雅にコードを端に寄せられた。その動作の美しいこと。流れるよう。

照明が暑かったのか、それとも室内が暑かったのか、楽さんが話されている時に、玉三郎様が関係者の方をそっと呼ばれ、口元を隠され話される手の動作の美しさ。同時に後ろに反られる姿。
すべてが流れるようでした。
余談ですが、しばらくして会場がすずしくなりました。

一番前(本当に舞台から近いんです。パイプ椅子が三台いや二台程離れている距離です)で玉三郎様の真ん前の私は、玉三郎様の手相?いや、手相に詳しくないのですが、手の線がはっきり濃く、みえました。
手の線が、ほんとにくっきりなんです。

肌の綺麗さにも、びっくり。会場を暑く感じられた玉三郎様のお顔が、あかくなっていくのも綺麗でした。

楽さんに話される玉三郎様の言葉や姿
どうして?と言われ楽さんをのぞきこまれる姿
歌舞伎役者側のことをいわれる時、うちらは、という表現

こうして考えてくると
お茶碗の話ではなく、玉三郎様をじっとみていて、うわのそらでメモをとっていた自分に反省しています。

流れるようなしぐさ。

ちょんぱさん

感じたことを送ってくださって
ありがとうございます。

優雅にコードを手で寄せられたり、
そっとエアコン調節を指示されたり、
何げないしぐさにも品があってそっとしている
玉三郎さんの様子が、浮かびました。

うちらは、という言葉も初めてのような。
焼き物業界VS歌舞伎業界じゃないですけど
いつにない構図あっての「うちら」ですね。
貴重な対談に参加されて本当に良かったですね。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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