心の桃源郷 @ 八千代座

八千代座から戻られたお座敷の皆さんの、
「まだ夢心地」「またまた泣いてる」「夢と幻を彷徨っている」という症状は
その後、少しは回復されましたでしょうか。不治娘だから無理?

そういう私も、まだまだ回復はしておりません。
今なお、心は、桃源郷にいます。ふわふわ~。
目をつぶれば、城ばかりか星をも傾かせる「傾星」の姿が

第一部「口上」では、25周年を迎えての思いを、飾らない言葉で
ユーモアを交えて語られた玉三郎さん。白塗りと裃姿ながらも、目の前にいらしたのは
女形ではなくひとりの人間でいらして、素顔にふれられた思いがしました。

その玉三郎さんが、第二部「傾城」で花道から登場された時の驚きたるや!
木造りの小屋の中、ゆらゆらとした灯りに、ぼんやりと浮かびあがる
陽炎のような花魁の姿を目にした瞬間、あぁ、この光景は江戸時代のものだ、と
そう信じられたのです。今、目の前を、華やかで美しくて、高貴で、
どこか物悲し気な花魁が、廊下を歩いて奥のお座敷に向かっている。
冒頭から空気ごと連れていかれる感じで、異世界に入りこんでしまいました。

花魁の踊りを見ているときも、ずっと不思議な感覚にとらわれていました。
顔を見ると玉三郎さんなのだけど、でも玉三郎さんはそこにいない。
すぐ眼の前で踊っているこの方は、いったい誰なんだろう!と。
そして、このひとを想って泣いている男性も、きっといるんだろうな、と。
なんて綺麗で、色っぽい舞踊なんでしょう。

打掛けが、鳳凰柄の赤から、孔雀柄の紫、そして鷺柄(ですかね)の黒へと
四季の移ろいうのように変化していくのですが、こちらの衣裳は
南座で開催された「坂東玉三郎 美の世界展」で展示されていました。
実際に纏われているお姿を、あの近さで拝見できるなんて!ゴージャス。

襖には紫陽花や牡丹、ススキ、菖蒲がとても美しい色彩で描かれていました。
花魁のシルエットが、一瞬、襖の白いところに映し出されて、何ともエレガント。
打掛の下に来ているお着物のもみじの黄色も、ハッとするほど鮮やかでした。

第三部「藤娘」は、屏風から出てくるときも引っ込むときも
どこをとっても、日本一!可愛らしくって、チャーミング。
ほろ酔いのお姿は、本当にお酒が入っているかのよう。
私は、藤娘が上手へ下手へ、ご挨拶するシーンをとても楽しみにしていました。
八千代座のあの舞台で踊ったら、どんな風になるんだろうって。
恥ずかしそうに振袖でお顔を隠す藤娘に、上手でワァーッ、下手でキャーッ、
中央でウワーッと歓声が上がって、こちらの気分もピンク色に。
一瞬にして、八千代座に春がやってきたようでした。

あの近さでわかったことが、ありました。
玉三郎さんの動きには、雑音が一切無いということ。
スッと静かなまま、流れるように動きが繋がっていくのです。
無駄な動きが皆無なのだということが、耳でも感じとれました。
あと、藤の花の竿には、細い針金が円形に張ってあって
三つの房がいつも離れてユサユサするような仕掛けがありました。
最後、その竿を藤娘が右へ左へと振るのですが、すぐ頭上で
藤の花がユッサ~ユッサ~と揺れるので、締めくくりに
お祓いをしていただいているようでした。得した気分(笑)。

カーテンコールも八千代座のお楽しみのひとつ。
花道に出ていらしたら、二階のお客さんが落ちそうになるくらい
前に乗り出して歓声を上げる光景は、きっと江戸時代も同じだったんだろうなぁ、と
芝居小屋全体がどよめく感じで、外から見たら小屋が揺れてるのでは
とさえ思ってしまいます。熱いマグマのカーテンコール。

来年も、きっとありますよね!
心の桃源郷へ、いそいそと出かける秋の年中行事。
この先も、26周年、27周年、28周年…と、ずっと続いていきますように!

不治娘の皆さん、観たい演目を事務局に送りましょうね

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あの声は・・・

越後まで聞こえてきたあの、ぎゃぁ~~~!はやっぱり桔梗さん。
そして、あの歓声と拍手は八千代座からでしたのね。^^

みなさんはまだ夢の中。ええなぁ・・・・・

ありがとうございました

桔梗さん お座敷のみなさま
八千代座の詳細なレポート、感動をいっぱいお伝えくださいまして、本当にありがとうございます。
この数日間ここへ来るたびに、私もその場にいられたかのような感覚を味わわせて頂きまして、またみなさまの玉様への温かいお気持ちにもいたく感動しまして…私も毎日泣いていました。
毎日少しずつ違う口上にわくわくしたり、異空間にトリップしたり、藤娘の可愛らしさにきゃーっとなったり…楽しませて頂きました。
本当に行けたらすごいことだけど、行けなくても悔しいとか残念とかいう気持ちは不思議となくて、素晴らしい数日間を玉様もみなさまも過ごされたのだなあという、なんだか清々しい感じです。
みなさまそれぞれにお忙しい毎日と思います。まだまだこれからも余韻にゆっくり浸ってくださいませ。
玉三郎さんも十二月のご準備とかおありなのでしょうが、少しでもごゆっくりされますように。

うぎゃー。

まるこさん

やっぱり新潟まで届きましたか。
八千代座の過熱ぶりが。
大大大フィーバー。

夢の中から出ないまま、はや5日。
このまま夢の中の住人でいたい(働けー)

まるこさん、いつの日か、ご一緒ましょう!
まだまだ続きます、続けてくださいます。

えつこさん

先発隊、中発隊、後発帯の皆さんの
八千代座レポートで、盛り上がりましたね。

>またみなさまの玉様への温かいお気持ちにもいたく感動しまして…
 私も毎日泣いていました。

えつこさんも毎日、泣いていたんですか(笑)。
いや、でも泣けてきます。人間って不思議ですよね。
感動すると涙が出てくるのはなぜなんでしょう。
涙が流れると浄化される気がします。

>行けなくても悔しいとか残念とかいう気持ちは不思議となくて、
 素晴らしい数日間を玉様もみなさまも過ごされたのだなあという、
 なんだか清々しい感じです。

いらっしゃれなかったえつこさんが、
そのように言ってくださって、私も清々しい気持ちになりました。

玉三郎さんには、少しでもゆっくりしていただきたいですよね。
また12月、1月と続きますもんね。イケイケ玉さん。

えつこさんも、また歌舞伎座へ突撃してくださいね!

ついでに

書き残したことをついでに。

「口上」で、今回はじめて気がついたことがひとつ。

冒頭の「まずはいずれもさまの麗しきご尊顔「の」拝したてまつり、まことに喜ばしくおん礼もうしあげます」

尊顔「を」ではなく、尊顔「の」とおっしゃいました。
「songan o」がリエゾンして、「songanno」となっているのです。
文楽をきいていて、ふーん、日本語にもリエゾンがあるのかと思っていたのですが、玉三郎さんの口上にもあることに、今回はじめて気がつきました。古式ゆかしい口上なのでした。

「傾城」と「藤娘」とでは、「傾城」の憂い顔、「藤娘」の明るい無表情、表情の違いも楽しみました。

「藤娘」で藤色の衣裳に着換えて登場、上手下手に駆け寄ってご挨拶するところ、沸きますね。
下手への挨拶のあと、後姿を見せて、舞台の奥にツツツと歩み寄り、どこまで行く? もしかして引っ込む? と不安になるほど進んだところで、振り向いて、今度はまっすぐに、どこまで近づく? と表情をうかがうほどに進んで来られたところで、袂を重ねて、この上なく、優雅に、ゆっくりとお辞儀をされる瞬間が、たまりません。
毎度のことなのに、はじめて見た、みたいな気分で、ワ~ッと拍手します。

はじめて気がついたこと、いつものこと、どちらもいつでも楽しい舞台です。

ありがとうございます。

京にんじんさん

追伸をいただきまして、感謝いたします。

>尊顔「を」ではなく、尊顔「の」とおっしゃいました。
「songan o」がリエゾンして、「songanno」となっているのです。

気がつきませんでした。そんがんのー、なのですね。リエゾン!
いつも個人的に、「いずれもさま」という言葉に反応(はんのうもリエゾンか)
してしまうんです。何となく面白い言葉のニュアンスに。

確かに、表情がね。憂いの顔と、明るい顔。
「傾城」は、麗しき美人の色気で、「藤娘」は、可愛らしい娘さんの可憐さ。
それぞれの個性が全く違っていて、楽しませていただきました。
「傾城」の花魁が思い悩む相手を見てみたいですよ。
男性がどれだけ泣いてるんだろう、って思いながら、見てました。

>「藤娘」で藤色の衣裳に着換えて登場、上手下手に駆け寄ってご挨拶するところ、沸きますね。

つつつ、って、奥まで行ってましたよね。
扇子で顔をあおぎながら、顔を上に向けるシーンも大好きなのです。
今回は、下手側の屏風に引っこむ寸前に、やってらっしゃいましたね。
藤娘の頬の火照りが、体温で感じられます。
シネマ歌舞伎のコマーシャルにもなってました。名場面です。

八千代座に行くと、気がつくことが
いつもより沢山ある気がします。
ほんとに、そういうところも楽しいです。

玉さまはやっぱり凄かった

桔梗さま お久しぶりです。  
皆さまと感動を分かち合えたくて お邪魔しました。

私は今年 初めて八千代座に行きました。 いつか行きたいと今年やっと行ったのですが もう25年もたっていたんですね。 

兵庫県の我が家から約6時間かかりました。 遠いくて着いた頃はテンションが下がっていましたが、 最初の「口上」を聞いて それは吹っ飛びました。 玉さまの心のこもったおもてなしの「口上」 本当に素晴らしいお方だ思いました。
 そのあとの 舞踊の数々の衣装の素晴らしい事(衣装だけではありません)!!
もう 1週間前なのに今も目に焼き付いて離れません。 仰っていた光(LEDの事)のせいもあって八千代座で観る玉さまは特に素晴らしかった。

また あんなに 楽しそうな 玉さまを観たのも初めてでした。
カーテンコールで 舞台の端から端まで にこにこしてお辞儀(また これが美しい)されて 私は 感動して 涙がでそうでした。 
客席のあの どよめきというか溜息・・・・・

あのお方は 本当のプロフェショナルだと思いました。
皆さまが2回 ご覧になられるのも 理解できました。
私も 時間とお金が許せば もう1回観たかったです。

書きつくしませんが 来年も また 行こうと思ってます。

また こちらで教えてもらって 八千代座にも見学できました。
藤娘の屏風(銀色で素敵でしたね)もちらっと間近にみれました。
有難うございました。

また宜しくお願い致します。








やっぱりね!

sumireさん

お久しぶりです。
松竹座の時にコメントをくださった
sumireさんですよね。
おとらさんのお友達の。

感動を分かち合いに来てくださって
ありがとうございます。

今年、初八千代座でいらしたんですね。
それは、もう、感動マックスだったことと思います。
お家からは新幹線でいらっしゃれるのですね。
地続きなのは、羨ましいです。
でも6時間かかるとやっぱりくたびれますよね。

>最初の「口上」を聞いて それは吹っ飛びました。 
 玉さまの心のこもったおもてなしの「口上」 本当に素晴らしいお方だ思いました。

私も、道中がかなり大変でも、八千代座に着いて
玉三郎さんのお姿を目にすると、吹っ飛びます。
「口上」は、和みますよね。ああいう機会はないですしね。

八千代座の照明というか灯りは
格別でした。
今回、傾城の登場の時の花道の灯りは
もう身震いしてしまいました。
そこに、花魁が生きている時代とか、
ひとつの世界が構築されていて
それを見ただけで、今度はぶっ飛びました。

>書きつくしませんが 来年も また 行こうと思ってます。

ですよねー、一回が百回に~、ですわ。

八千代座の見学もできたのですか、
それは良かったです。
屏風がそのまま置いてあったんですね。
いつも残しておいてくださるんですよね。
口上の墨絵の襖があったり、
上手の奥に道成寺の鐘が置いてあったり。
憎い演出かな、それとも置いてあるだけなのかな(笑)。
いずれにしても、最高ですね。

こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたしまする。
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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