政岡の打掛が、出来るまで。

NHKハイビジョンで2004年1月1日(木)~3日(土)に放送された
「坂東玉三郎の古典芸能図鑑」という番組があります。

私は、翌年の再放送(お正月の深夜に5時間連続で放送)を拝見し、
これは!と慌てて録画したのですが、その内容の濃さと、深さは、
見れば見るほどで、先日、久しぶりに見て、またまた驚きました。

玉三郎さんが進行役になって、
『能』『文楽』『歌舞伎の衣裳』『歌舞伎のかつら』『歌舞伎座』という5つのテーマで
スタジオ収録に取材映像を交えて毎回、ガイドしてくださっているのですが

今回、『衣裳』と『かつら』を見ましたら、今、歌舞伎座で上演中の政岡の
「打掛」と「かつら(片はずし)」について、とても丁寧に解説してくださっていました。

政岡の「打掛」が仕上がるまでの逸話というか歴史というか、
そのプロセスを玉三郎さんがひとつひとつとても丁寧に語ってくださっていて、
これは!歌舞伎座で生で拝見できる今、この時こそ、
皆さんにお知らせしなくては(ゼーハーゼーハ~)と、←慌ててる
こちらで、ご紹介させていただこうと思いました。
玉三郎さんのコメントをそのまま引用させていただきます。

「政岡というのは乳母なんですけれども大人の役の大役中の大役です。
雪持ちの竹に雀が戯れている、そしてそこに南天があしらわれていて
黒地の繻子で大変重みのある中にも、派手やかな部分もある。
私たちの歌舞伎の衣裳というのは、代々、使って参りますけれども
どこかで傷んでくるところがあります。それが一代、二代となりますと
朽ちてしまって使えなくなってしまうこともあるんです。
わたくしが演らせていただきました頃には、前に使っていた衣裳が
もう着れないという状態になっていました。
それである大先輩の(五世中村歌右衛門さん)写真集を見ておりますうちに
何とかして復元することはできないだろうか、と考えていたんです。
このように(打掛を持ちあげて)、真後ろから写っている状態の写真が
ありませんでした。後ろの模様が想像できなかったんです。それで、
前に写っている袖の部分と肩の部分とちょっとした裾の部分だけを
取りまして、みんなで想像して(ちょっと笑い声)、後ろがどういう風なのだろうか、
ということを想像して描いてもらっていたんですが、なかなかそれは無理な話しです。
半年、一年、経ってしまったでしょうか。ある所から図柄が、コレクションの所から
出て来たんです。これはほんとに奇跡に近いことでした。
そこの袖の部分を見ますと、まさしく、その大先輩の着ている衣裳だろう、
ということがわかりました。それで、後ろがすべて図案がわかったということなんです。
さっそく、絵を描いてもらいまして、その下絵というのがこれです。
(鉛筆なんでしょうか、下絵も美しいです)
このように紙で何枚も何枚も描いていくんですね。それで雀とか、雪持ちの竹とか
切紙になっていまして、場所の悪いところは、あっちだこっちだと言いながら
貼り直したりして、みんなで相談していくんです。それで下絵ができまして、
今度は、片袖だけ刺繍をしてもらうわけです。それも3ヵ月くらいかかるんですけども
その刺繍をしてもらって、その質でいいということになったら、その袖は使いません
けれども、それでもって全部の刺繍に取りかかる。それで一年くらいかかって、
まぁ、5~6人とか多い時は10人くらいで刺繍をするんでしょうか。それで
一年くらいかかって、出来上がるというわけです。
(ここで打掛を玉三郎さんが羽織って、斜めの角度で見せてくださいます。カッコえー)
舞台で実際に人間が着て、動きますと、独特のニュアンスというか、
独特の雰囲気を醸し出します。(ここで背中がアップになって模様がはっきり見えます)」



というわけです。スゴイですよね!あの打掛の美しさが只者ではない理由が
はっきりと、わかりました。打掛が出来るまでの歳月と、何よりも、あきらめずに
復元しようとした玉三郎さんと衣裳方のみなさんの思いと努力に感動しました。
歌舞伎座で打掛を見つめる視線が、さらに熱く熱くなりそうです。

南座で開催された「玉三郎 美の世界展」では、政岡の打掛の刺繍を
間近で、ジーーーーーーッと眺めさせていただきました。素晴らしくて、
あんなに近くで拝見できて最高に幸せでした。
撮影OKという太っ腹のご対応に感謝してパチリ。

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本当に美しい

桔梗さん、あの打掛の詳しいご紹介ありがとうございます。

本当に美しい打掛ですね。一昨年でしたか「玉三郎美の世界展」という本を購入しまして、その中に政岡の打掛も載っていました。

本の中の打掛を実際舞台で拝見できて、ましてや玉三郎さんがお召しになって色々な方向から見れて幸せでした。

こちらの打掛は雪のドットが密で、まさに降りしきる雪。笹に積もった雪がたっぷりで、耐えて耐えての政岡の心情と重なるようです。

この打掛は玉三郎さん自前の作品なのですか?本には他にもたくさんのお衣装やお道具があって、巻末に協力:松竹衣裳株式会社とありました。玉三郎さんがお作りになって管理は会社がするのかな。どのお衣装が自前の作品なのかも興味がわきます。

茶釜には「飯」の文字がきざまれいると本にありました。舞台のあの茶釜がそれだったのでしょうね。さすがにその文字まではオペラグラスでも確認できませんが。


生打掛。

ぴこさん

「坂東玉三郎 美の世界展」の本を見ていらしたんですね。
そうそう、あの打掛が、生で、玉さんが着て、動いてるんですもんね。

>笹に積もった雪がたっぷりで、耐えて耐えての政岡の心情と重なるようです。

そうですね、美しいけれど、内に秘めた暗い心も感じますね。

>この打掛は玉三郎さん自前の作品なのですか?

そうですね。玉三郎さんの自前の衣裳ですよね。
松竹衣裳とあるのは、ほかにもいろんな衣裳が出ているので
きっとその分のクレジットですよね。

>茶釜には「飯」の文字がきざまれいると本にありました。

そうなんでしたっけね。観たくなりました。
天体望遠鏡、持って行こうかなー。うっしっし。

プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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