3日 夜の部へ。

昨日は、歌舞伎座で「伽羅先代萩」を拝見しました。

幕見席に突撃する予定でしたが、朝、松竹ウエブを見てみたら
なななな、なーんと、かぶりつきエリアの良席が、出ているではありませんか。
サーサーサーサーッ、みつぐさーん(迷うと出てくるこの台詞)、
どうなとしー! はい、ポチッ!

朝から、ルンルン気分で(古い)、仕事を激片づけして、
歌舞伎座へと向かいました。
座席についた途端、「あ、桔梗さん!」と声をかけてくださったのは、ぴこさん。
「なんでここにいるのー、幕見じゃないのー??(笑)」
「はい、すみません、ポチッとしました」

「竹の間」が始まると、花道から、鶴千代くんと千松くんが出てきて
わぁ、子供たち可愛いな、と思いながら眺めていました。
政岡は花道からのご登場ではないんだな、と思った時、
少し距離を置いて、政岡が後ろからゆっくり歩いてきました。
うつむき加減のその姿と表情を見たとたんに、
暗雲立ちこめている風情というか、ずっしりと重たい空気が
政岡を取り巻いているのが感じられて、うわぁ、となりました。
一瞬で、その立場が、伝わってきました。

前半はずっと、緊迫感でピーンと空気が張り詰めていました。
政岡は、丁寧な物腰でありながら、鶴千代くんを守るべく、
背筋はビシッと伸びて、凛とした顔つき、鋭い眼差しで、
八汐たち悪には、一部の隙も見せません。
女性でありながら気骨があって、その佇まいや、
台詞の数々から溢れ出る、その品格にも、目を見張りました。
圧を感じる存在感というか、静かにうごめいている
心の中のパワーがスゴイ!圧倒されました。

でも、千松くんの着物を直してあげたり、子供たちを見つめる時は
ふっと優しい母親の表情になるのが、たまりませんでした。
ご飯で「にぎにぎ」(おにぎりですよね)を作るよ、という、政岡と千松の
やりとりが愛らしくて、束の間、ホッとするひとときでした。
でも、どうなるかわかってるだけに、切ないんですけど。

「飯炊き」の場面では、玉三郎さんの動きが、線になっていて
とても美しいと思いました。袱紗を畳んだり、茶筅でお米を研いだり
動きは複雑なのに、無駄な動きがひとつもないのですね。
使ったものをちゃんと仕舞っているところでは、「生々流転」の
インタビューでおっしゃってた通りだな、と

今回、一番、衝撃だったのは、千松が、八汐に殺されてしまい、
栄御前御一行が花道を去って行ったあと、そこに残された政岡が、
くるっと背中を向けるのですが、その時、あの凛としていた背中が
崩れて、一気に老け込んで見えたことでした。ええっ!となって、
ああ、これを絶望というのか、と、愕然としました。
何の言葉もなく、背中だけで、政岡の悲しみが、ゾッとするほど感じられたのです。
あの背中が、今もずっと瞼に焼き付いています。

千松の亡骸を前に、声を上げて褒め称え、嘆き悲しむときに
政岡の悲しみの深さがじわじわと伝わってきて
こちらの胸もかきむしられる思いでした。
忠義とは、なにを守るためのものだったんだろう、と考えてしまいました。

南座の「美の世界展」でガラスの中に飾ってあった打ち掛けが
まさに政岡が身につけて動いているのを観て、心底、感動しました。
ただでさえ芸術品なのに(変な言い方ですが)、こういう形で目にすることができる幸せ!
やっぱり歌舞伎の醍醐味ですね。素晴らしかったです。

ぴこさんに声をかけていただいたおかげで、
晩御飯タイムもお喋りできて楽しかったです。
ぴこさん、どうもありがとうございました!


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ぽちっ!

いつも思うのですが、玉三郎さんの背中は説明もセリフもいりません。

高野聖、お園さん、お富さん、千代などなど。数えきれませんが、どのお役も後姿が忘れられません。

桔梗さん、いいことやっちゃいましたね。^^

今月は忙しいんだよなぁ・・・・来月も何とかやりくりして日程を取ったんです。行きたいなぁ・・・・ぶちぶちぶちぶち。。。。。

雀の唄

さっそくのご見物、おめでとうございます。
詳細なレポート、ありがとうございます。

子供たち、前回、さよなら公演でもかわいらしくて上手でしたが、今回もがんばっているようですね。
楽しみです。

「老後の政岡」という芝居(たぶん現代劇)があると知りました。
30年後、立派な殿様になった鶴千代を、老いた政岡が訪ねてきて、千松を偲んで、二人で雀の唄を歌うところがあるらしい。
想像しただけで、泣けそうです。

後ろ姿、絶品です。

まるこさん

玉三郎さんは前も凄いけど、
後ろ姿で、語ってくださいますね。
台詞がないから、余計に、ううっって伝わってきます。
ほんとに、びっくりしたんです。
なんというか凛とした美しい人が
いきなり老婆になっちゃったような、背中で。
ズドーンと悲しみの淵に落ちてしまったよう。

玉三郎さんの「ザ・背中」という写真集が欲しいですね。

あと、花道の出、ばかりを編集した映像も。
お富さん、政岡、お辰さん、揚巻さん、獅子の精などなど。
続けて見たら、面白いだろうなぁ。驚嘆しますね。
全部が、一人の玉三郎さんという役者さんだってこと。
そこに役の魂が凝縮して、存在しているんですもんね。
政岡さんを見て、あらためてびっくりしました。

今月は、お忙しいんですね。
わかりました!では、代わりに、私が馳せ参じましょう!はい。

そうそう!

京にんじんさん

雀の唄について、ありがとうございます。
すごくいいシーンですよね。
書こうと思っていたのに、忘れていて。

雀の唄で、子供たちの気持ちを和らげようとしながら
自分が悲しくなってしまう政岡母さん。
玉さんの歌が聴けた!なんてことでも
喜んでおりました。優しい歌。切ない歌。

子供たちが、すごーく頑張っていました。
声に艶があって、よく通っていて
二人がしっかり立っていました。
あんなに小さいのに、凄いなぁ。

>「老後の政岡」という芝居(たぶん現代劇)があると知りました。

コメントを拝見しただけで、泣けましたよ。
絵が浮かびました。悲し過ぎます。

しかし、大人が寄ってたかって小さい子供を。。。
歌舞伎でなければ描けない世界だ、とつくづく思いました。
そう思わないと、やってられない感もありまして。
政岡さんの辛さを思うと、いたたまれないです。

京にんじんさんは、これからですね。
千穐楽には、お会いできるでしょうか。
楽しみにしております。

ポチッと、な。

桔梗さん、私もポチッとしました。19日の夜の部に参ります。来月上京するから今月は我慢しようと思っていたのですが、「演劇界」のインタビューを拝見したら、こりゃ行かなければなりますまいと思い、とりあえず3Bを予約して3Aの戻りを待ちましたが、全然戻らなくて、一等席をチラッと見たら、2階最前列の花道上の席が1席だけ空きが出てました。半日くらい悩んで、結局ポチッと…。

10月も上京しますが、12月も玉さま歌舞伎座のウワサがあるようで、私のお財布はどうなるんでしょうか。そうそう、「新口村」 の義太夫の詞章に「後は野となれ大和路の〜」ってありました。桔梗さん、近松門左衛門と同じセンスです。

でかしゃった!

おとらさん

ポチッと仲間!やった!
おめでとうございます。

2階最前列の花道上の席に呼ばれましたね。
座席とのご縁って、ありますよね。
なぜかそこだけポコッと空いてる時、
これは呼ばれてるなって(呼んでねーよ←座席の声)

玉三郎さんの政岡、絶対に観なくちゃです。
最初から最後まで、唸りっぱなしでした。
台詞のまったくないまま過ぎていく「飯炊き」!
シーンとしている中、劇場全体が、
政岡に集中しているのを感じました。
ああいう場面って、そうそうないですよね。
見どころがいっぱいです。

>「新口村」 の義太夫の詞章に「後は野となれ大和路の〜」ってありました。

へぇ~そうなんですね。何だか嬉しいな。
そうです、お財布は、何とかなりますよ(何の根拠もないが)

後は野となれ大和屋大好きのココロ~で、
おとらさん、19日が待ち遠しいですね。

訂正

「新口村」ではなく、その前の「封印切」でした。

忠兵衛が為替のお金の封印を切ってしまい、梅川といっしょに死出の旅に出ようとするところです。井筒屋のおえんさん(何年か前の顔見世で玉さまがお勤めになりました)に門口で見送られ、忠兵衛が花道を足取り重く歩く場面、泣くぞ!と思っていたら、「後は野となれ大和路の〜」が聞こえてきて、ぷっと吹きそうになりました。

ありがとうございます!

おとらさん

「封印切」での、台詞なのですね。
訂正してくださり、しっかり覚えました。
藤十郎さんのを何回か、拝見しました。
玉さんの、おえんさんも映像で。
すごく良かったですよね、おえんさん。
確か初めてのお役でしたよね。軽やかな印象が。
興味深く拝見しました。

でも、聞き逃していました。
「後は野となれ大和路の〜」は!
ぷっと吹きそうになったおとらさんの顔を思い浮かべて
ニマニマしております。

6日夜の部

「伽羅先代萩」観て参りました!

なんと、前の席が少年でしたので、大きな視界で拝見できることができました。
なので、政岡が膳をもって立ちあがられたとき一段と美しく見え、合わせ持つ威厳のような風格もまた一段と感じられ、多いに見惚れてしまいました。

主家への忠義心が強い乳人政岡が企む者への一瞬の油断も見せない表情と、我が子が犠牲になり一人になったときの母政岡の悲しい表情は強く心に残りました。

来年のカレンダーめくってきました!
素の玉三郎さんのお写真は5月6月だったかな♪

見惚れますな。

あんずさん

すぐ前が少年で大ラッキーでしたね。
座高によって、運命が左右しますからね(笑)。

膳を持って立ちあがる時ですね。
あと、「御殿」の始まり、政岡がお子二人を連れて
手にはお道具を持って、
ジャジャ―ンッて登場する時のカッコよさ。
見惚れますなあ。

私は、政岡が花道でひとり残った時の背中に
ノックアウトされました。
もう、一瞬で、身体まで萎んでしまったように映りました。
悲し過ぎる現実に打ちのめされてしまった背中でした。

今日、これから政岡さんに会いに行ってきます。
前が少年だったらいいなぁ(笑)。運命やいかに。

カレンダー情報もありがとうございます。
今日はしっかりとめくって見てきます。
素の玉さんページも!

号泣

桔梗さん、皆様、こんばんは。

私も玉三郎さんの政岡を拝見しに、先週行って参りました。

先代萩は初めて観たときから実は大好きな演目で、今回玉三郎さんがなさるのを本当に嬉しく、心待ちにしていました。

…で! こんなに号泣したの初めてでしたーーーー!

玉三郎さんの政岡は、何か超越しているというか。
技術を超えたところ、さらりとしていることがすごくて、クドキもすごくて、とにかく、滝に打たれたような気分でした。

まず、竹の間でこんなに泣いたことない…(笑)。
鶴千代ちゃんの、「政岡じゃなきゃやだ、八汐あっちいけ!(大意)」の台詞が力強く…。そこに、心を砕いて二人の子供を育てている母との絆が浮き彫りになってぐっとなり。
その後の、乳母に返り咲いたときの玉三郎さんの一言。「ありがとうございます」に撃たれました。
そして政岡、八汐、沖の井の三人がそれぞれ面白くて、かつ、子役の二人もきちんと役として舞台にいて、竹の間、息つく暇ありません。まさにエキサイティングな一幕。

あんずさんのおっしゃっていた、政岡さんの御膳を抱えて退場するところ!美しかったですよね。
でも苦しいお顔が悲しくて…。
せっかく無事難局を切り抜けたのになんでなの?…と思って、御殿の最初、義太夫に耳を傾けているときにその理由がわかって。
そうか!と。自分の咎が晴れても…!!!

花道や下手側が見えない西側で拝見していたのですけれど、
飯炊きはとても素敵に見えて、うきうきでした♪
ふくさを後ろ向きでたたむところも美しく、手順に追われること無く、まさに政岡のまま、早く早くと自分をせかしながらも品よくきちんとご飯炊く姿が美しい。

桔梗さんが印象に残ったという花道で栄御前を見送ったところは、
観えない政岡に想いを馳せつつ、桔梗さんのおかげでこんな感じ!と補完しつつ…!お客様の空気が変わるのも感じつつ…。
今から戻って振り返ったら千松の悲しい姿が目の前に広がっちゃう…と想像が刺激され。三味線の音色がまた、それを助長するし。
クドキが始まる前から号泣です。もちろん、クドキも号泣です。

(後で正面から観てその花道での瞬間にもやられてきた!)


おとらさん、よくぞぽちっとなされた!という気持ちでいっぱいです。お席もすごくナイスですよね、政岡観るのにもばっちり。
是非お楽しみになさってくださいね!

桔梗さんは、今日ご覧になってきたんですよねぇ。
いいなぁ…。

うぉ~ん、うぉ~ん。

くるりんさん

感想をたっぷりと!ありがとうございます。

うんうん、そうそう、とうなずきながら
読ませていただきました。

>玉三郎さんの政岡は、何か超越しているというか。
技術を超えたところ、さらりとしていることがすごくて、
クドキもすごくて、とにかく、滝に打たれたような気分でした。

滝に打たれたような、って表現、ぴったりきました。
いかにも、これでもかっ、てんじゃなくて
サラサラと流れるようなのに、グイグイくる。圧がすごい。

>まず、竹の間でこんなに泣いたことない…(笑)。

そうそう、こちらを読みながら、まさに!と。
一昨日観た時、「竹の間」がすごいことになってるーって。
本当に驚いたんです。3日に観た時は、緊迫感がすごくて。
ひとりひとりの思いが、デコボコに盛りあがて見えて、グングン迫ってきて、
圧巻は、鶴千代くんでした。
本当にエキサイティングな一幕でした。

>飯炊きはとても素敵に見えて、うきうきでした♪
 ふくさを後ろ向きでたたむところも美しく

ふくさを帯にスッといれる姿が、いいですよね。
そのたび、母を思い出してしまいました。
いつもお茶を点てる時にやってたなぁって。

>桔梗さんが印象に残ったという花道で栄御前を見送ったところは

一昨日は、後ろを向く前の、政岡の目に惹きつけられました。
座りこんで、前を見ているけど、何も目には映っていないような。
あー、思い出しただけで辛い。うぅ~号泣。

もちろん、クドキも号泣です。

おとらさん、いよいよ来週ですね!

辛いけど、また観たくなっちゃう。

すごい緊張感!

桔梗さん、こんばんわ。
初日はあんなにお近くでお会いできるとは(うっしっしっ!)
最近の観劇の感想など聞いて頂いてありがとうございました。お弁当食べながらの30分では足りませぬ~。

楽しみにしていた玉三郎さんの政岡、どの場面もぴーんと張った緊張感に包まれていましたね。

私も政岡は花道からの出じゃないんだ・・・と気を抜いた瞬間、ずどーんと重い空気をまとっての登場で、えっ、何?これからどうなっちゃうの?と気を入れなおして拝見しました。

子役の二人も初日なのに、とても小さいのに、セリフも噛まないし、ずっと正座の後さっと立ち上がって懸命に演技していて。何て健気なんだろう、子役さんのお母様達は今頃口から心臓が飛び出しちゃいそうな気持で見ているんだろうな、なんて。玉三郎さんもこの小さな役者さん達を細かく気遣っていらっしゃるように見うけました。

竹の間から御膳を掲げて去っていく玉三郎さんの美しいこと。政岡のオーラの光が放射されているようでした。

他にもたくさん感じた事があるのですが、又おいおい書かせて下さいませ。

うっしっし。

ぴこさん

3日でしたよね、初日じゃなくって。あははは。
もう、遠い昔の出来事になっちゃいましたね。
私のことをめっけていただいて、うっしっしーでした。

ぴこさん、いろんな舞台をご覧になられているので
聞いていて、とっても刺激されました。
私は、玉三郎さんオンリーなんですよ。本当に。
皆さんは、歌舞伎のほかの舞台もご覧になられていて
スゴイなと、いつも思っております。

緊迫感、半端なかったですよね。
でも、徐々に和らいできたような気もしています。
やっぱり、役者さんたちも、最初の方はより張り詰められるんでしょうかね。

>玉三郎さんもこの小さな役者さん達を細かく気遣っていらっしゃるように見うけました。

そうなんですよね、信頼関係を感じました。
玉さんと、子役の子供たちとの。
きっと、いろいろお話したり、お稽古したりして
交流を深めていらしたんだろうな、って思いました。

>竹の間から御膳を掲げて去っていく玉三郎さんの美しいこと。

ここはやっぱり、がんみポイントなんですよね。
スーッと下がる時の表情ですよね。
いろんなことを胸に秘めてというか胸に溜めて
そろそろと歩いていく、悲しい場面ですよね。

感想をありがとうございます!
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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