ひと目〜せき笠〜♪

もう3つ寝ると、歌舞伎座3月「鳳凰祭」の初日です!

玉三郎さんの舞踊公演のパンフレットには、いつも長唄の歌詞が掲載されていて
すごくいいんですよね。踊りの意味合いにハッとしたり、言葉遊びに唸ったり。
「藤娘」の歌も、かなり意味深な部分や遊びもあって、いにしえの情緒にしみじみ。
歌舞伎座のパンフレットにはたぶん掲載されないと思いますので
こちらに歌詞を書きますね。

長唄「藤娘」

若紫に十返り(とかえり)の 花を顕す松の藤浪〜

ちょんぱ

人目せき笠塗笠しやんと 振りかかげたる一枝(ひとえだ)は
紫深き水道の水に 染めてうれしき由縁の色の
いとしとかいて 藤の花
エェ しよんがいな 袖もほらほらしどけなく

男心の憎いのは 外の女子に神かけて
あわづと三井の鐘ごとも

かたい誓いの石山に 身は空蝉のから崎や
待つ夜をよそに 比良の雪

溶けて逢瀬の あた妬ましい
ようもの瀬田に わしや乗せられて

文も堅田のかただより 心矢走の かこちごと


(ここから藤音頭です)

藤の花房 いろよく長く
可愛がろとて 酒買うて のませたら
うちの男松(おまつ)に からんでしめて てもさても
十返りという名のにくや かへるという いみ言葉

花ものいわぬ ためしでも
知らぬそぶりは 奈良の京
杉にすがるも 好き好き
松にまとうも 好き好き
好いて好かれて はなれぬ仲は ときわぎに

たちも帰らで 君と我とか
おお嬉し おおうれし

松を植よなら 有馬の里へ 植えさんせ
何時までも 変わらぬ契り かいどり褄(づま)で
よれつもつれつ まだ寝が足らぬ
宵寝(よひね)枕の まだ寝が足らぬ
藤にまかれて 寝とうござる
アァ なんとせうか どせうかいな
わしが子枕 お手枕
空も霞の夕照に 名残を惜しむ帰る雁(かり)がね

もともとの「藤娘」の本名題は
「歌えすがえす余波(おなごり)大津画」だそうです。
大津絵から出てきた娘が踊るという趣向の五変化舞踊のなかの一曲で、
その舞台になっているのは琵琶湖に近い近江国(現在の滋賀県)です。
唄の「くどき」の部分には「近江八景」の8つの地名が読み込まれているんですね。
上の紫色にした歌詞を見てみますと、

◯あわづ(粟津晴嵐 あわづのせいらん)
 →神に誓ってよその女の人と逢わず
◯三井の鐘ごとも(三井晩鐘 みいのばんしょう)
 →見ないという約束の言葉(晩鐘=鐘ごと=予言)
◯かたい誓いの石山に(石山秋月 いしやまのしゅうげつ)
 →石のように堅い誓い
◯身は空蝉のから崎や(唐崎夜雨 からさきのやう)
 →まるで蝉の抜け殻のように空っぽの身
◯待つ夜をよそに 比良の雪(比良暮雪 ひらのぼせつ)
 →夜になり待っていてもよそへ行き(雪)
◯ようもの瀬田に わしや乗せられて(瀬田夕照 せたのせきしょう)
 →よくも私をいい気にさせて、乗せたわね(せた=舌=旨いこと)
◯文も堅田のかただより(堅田落雁 かたたのらくがん)
 →手紙を出しても一方通行の片便り(雁=手紙)
◯心矢走の かこちごと(矢橋帰帆 やばせのきはん)
 →私の心だけが矢のように逸ると愚痴る

歌川広重の「近江八景」はこちらです。
http://matome.naver.jp/odai/2133507064206890901

なるほど〜凝ってますねえ。いろんな風景が見えてきて
振りが歌詞にどんな風に呼応しているのかを見るのも楽しみです。

松竹座で拝見した時、『いとしと書いて〜ふじの花〜』のところで
玉三郎さんの藤の枝と、七之助さんの藤の枝が交差して重なり合うのですが、
たわわに揺れる藤の枝の感じやお二人のしぐさなど、すごく素敵な情景でした。
お二人が左右対称に手を文字をなぞるように「いとし〜と書いて」
シュッとまっすぐ下ろす時の、そのしぐさと俯き加減の表情がいいんです。
藤の花がゆ〜らりゆ〜らりと揺れる感じも、藤娘の心模様が伝わってきて、
見ているこちらも、ゆ〜らりゆ〜らり。

後半、七之助さんが1人で踊るところがあるのですが
歌舞伎座では、ぜひ日替わりで
玉三郎さんにも踊っていただきたいですね。すごく好きなところです。
アァ なんとせうか どせうかいな。

平成18年に玉三郎さんの舞踊公演で「藤娘」と「鷺娘」を上演された時の
パンフレットに、玉三郎さんのコメントがありました。

「藤音頭でそれまで踊っていた人が急にお客様の方を向いてお辞儀するなんて
考えてみたら不思議ですよね(笑)。でも、踊り手とお客様との心が通い合うあの
瞬間に「ああ、来てよかった」と思っていただけたら、やっぱり嬉しいですし。
そこには何か宴にも通じるものがあります。そしてそれがまた歌舞伎的ともいえるの
かもしれませんね。そういった飛躍もまた楽しんでいただきたいと思います」

藤娘と観客の心が通い合う瞬間!
まだ行ってないのに「ああ、チケットとって良かった」と思ってます(笑)
藤娘の長唄が、今から頭の中で、ずーっとグルグル回っていて
かなり気が早いです。初日は雨模様みたいなので塗り笠かぶって行こうかな
おお嬉し おおうれし〜
プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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