嬢様が落とした櫛

博多座で玉三郎さんの「高野聖」を拝見して
印象に残ったシーンが、数々ありました。

美しい黒髪をまとめていた櫛を
嬢様がどこかに落としてしまった、という場面。

次郎の歌を聴いて、涙を抑えきれない宋朝。

宋朝の話を聞いた後、嬢様が、床の用意をするために
スッと立ち上がった時、ふいに髪に手をやり
「あ、櫛がなくなった」ということを言うのですが
その表情、目つきが、謎めいていて強いのです。
そして、すぐに舞台は暗転。

えっ、櫛がどうしたの?なくした?えっ!!

客席に残されて、しばらく考え込んでしまいました。

小説の中では、こんな風に書かれています。

「貴僧《あなた》はここへお広くお寛《くつろ》ぎがようござんす、ちょいと待って。」
 といいかけてつッと立ち、つかつかと足早に土間へ下りた、
 余り身のこなしが活溌《かっばつ》であったので、その拍子に
 黒髪が先を巻いたまま項《うなじ》へ崩《くず》れた。
 鬢《びん》をおさえて戸につかまって、戸外《おもて》を透《すか》したが、
 独言《ひとりごと》をした。

「おやおやさっきの騒《さわ》ぎで櫛《くし》を落したそうな。」
 いかさま馬の腹を潜《くぐ》った時じゃ。

うーーーっ、あの櫛の意味は???

嬢様と馬の関係性を暗示するものが「櫛」なのでしょうか。

まとめていた黒髪が、バサッとばらけた時の嬢様の色気。
今も、妖しいまなざしが浮かんできます。

そして、思いました。鏡花の朗読会のときなどに
鏡花作品の演出や表現の解説を玉三郎さんご自身に
講演していただけたらいいなあ、と。

玉三郎さんの演出意図や、鏡花作品の解釈を教えていただくことで
「高野聖」や「海神別荘」などの舞台の味わい方が
さらに豊かに、奥深くなるのではないでしょうか。
対談集の中でも語っていらっしゃいますが
”今”のお話も、伺ってみたいのです。

もちろん勝手に想像していても楽しいのですが
私の頭では、限界があります

いつの日か機会がありましたら
ぜひ、ぜひ、よろしくお願いいたします

余談ですが、
博多座のすぐ近くにあった神社の名前が
ひとつは「水鏡天満宮」、ひとつは「鏡天満宮」。

いずれも、”菅原道真が京より大宰府に左遷される道中で博多に上陸した際、
四十川(現在の薬院新川)の水面に自分の姿を映した場所である”ことから
この名前がついたようです。

鏡花さんとは何の縁もない神社なのですが
親しみがわいてお参りしてきました。
もちろん学問のためにも

飛梅にんじんさん撮影による
「水鏡天満宮」の鯉と梅です。色鮮やか!

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博多座と同じ並びにある「鏡天満宮」

鏡

「水鏡神社」(鏡の文字がハレーション)

水鏡



プロフィール

桔梗

Author:桔梗
坂東玉三郎さんの 芝居に舞踊に歌唱に舞台演出に 映画監督に朗読に執筆に 歩く姿も潜る姿も後ろ姿も素ッピンも☆☆ すべてに魂を揺さぶられ〜~ 玉さんブラヴォ----ッッッっ!なエブリデイ!

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